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新型コロナウイルス

新型コロナに布マスクは本当に効くのか? エビデンスから解説

布マスクと新型コロナ

新型コロナに布マスクは効くのか?

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2によるCOVID-19)に布マスクは効くのか、予防効果はあるのかというよくある質問に対して2020年4月現在の最新論文などを交えて解説します。

まずマスクの考えられる意味として2つあるでしょう。

「うつさない」「うつらない」です。

結論から言いますと、布マスクの新型コロナに関する効果として

「うつらない」つまり予防できる…期待薄

「うつさない」つまり人へとうつすのを予防できる…ある程度は可能か

というところとなるでしょう。

それぞれの根拠について紹介していきたいと思います。

 

布マスクでは新型コロナを予防できるか?

まずは飛沫物と一緒に飛んでくる新型コロナウイルスの感染を予防できるか、ですね。

重要なこととして、一般の方向けのマスクの研究は多くなく、布マスクに関しては存在しないとBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)の文献にもあります。

Face masks for the public during the covid-19 crisis

そこで、より感染のリスクは高くなってしまうのですが、医療現場においての布マスクでは研究があるでしょうか。

これには研究が存在します。

次のものです。

A cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in healthcare workers

研究では、①医療用マスク群、②布マスク群、③自由選択群(医療用マスクや布マスク、未装着など自由に選んで良い)で行っています。

さて結果としてはどうだったでしょうか?

結果は、感染の率が高いのは①<③<②と布マスクが最も高いという結果になりました。

特に38℃以上の発熱と呼吸器症状がある「インフルエンザ様疾患」の割合では、他の①や③と比べて統計的に意味のある差で②の布マスク群が多いと結果が出ています。

布マスクがそうであった理由としては、取り扱いの不十分さや、粒子をブロックできない(97%も通過する。医療用マスクは44%)、汚染されたマスクから手を介して感染する可能性などが指摘されています。

これは新型コロナが流行る前の結果だったのですが、今回この研究の著者が先ほどの文献にコメントを寄せており、やはり医療現場では布マスクは推奨できず、強いて使うならば2枚を日替わりで使う、使用後洗浄・乾燥することなどを助言しています(科学的根拠ではなく実際的な方法であることも付記されています)。

「最後の手段としての」と断り書きがあるくらいで、推奨できるものではないことは確かでしょう。

このような医療現場に比べれば、一般の場での感染のリスクは下がるとは思われますが、基本的には予防するのは一般に厳しいと捉えられるでしょう。もちろん人は無意識に顔などを触ることが知られており、その点での間接的な予防効果はある程度はあるのかもしれません。

なお予防目的のマスクに関して、非エアロゾルの医療現場ではN95と通常の医療用マスクは遜色がないという研究が出ています。

Medical Masks vs N95 Respirators for Preventing COVID-19 in Health Care Workers A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Trials.

エアロゾルを発生する医療行為であるPCR検査の検体採取や気管内挿管、気道吸引などはN95を使用する必要があるのでそれは注意が必要ですが、通常の医療行為においては医療用マスクでも抑止効果はあるようです。

 

布マスクで新型コロナをうつさないで済むか?

一方で、布マスクをしていればうつさないでしょうか?

これに関しても様々な可能性が考えられます。

実際に新型コロナの患者さんに咳をしてもらって調べた研究があります。

Effectiveness of Surgical and Cotton Masks in Blocking SARS–CoV-2: A Controlled Comparison in 4 Patients

なんと、布マスクだけではなく、医療用マスクでも、ウイルスの飛散を予防することが出来ませんでした

しかも、マスクの内側よりも、外側にウイルスがより付着する傾向があったのです。

これは咳による乱流など様々な影響が考えられます。

咳などをよくしている場合には、たとえマスクを付けていてもらっても、ウイルスはやって来るということになります。

 

大声に注意

他にも興味深い研究があります。

これはライブハウスなどで新型コロナの感染が多発したこととも無縁ではないと考えられます。

次の論文で載っている話です。

Aerosol emission and superemission during human speech increase with voice loudness

なんと、声の大きさと粒子の放出率は正比例するというのです。

すなわち大きな声だと、粒子はより飛散するということになります。

今回の感染の場として、ライブハウスやカラオケなどが危険視されていることの背景にもなりますね。

しかもこの論文にはすごいことが書いてあります。

粒子の放出が一桁多い人がいるのだそうです。そしてそれは言語や声の高低とは関係ないとのこと。

すなわち、このような人がスーパースプレッダーという、多くの人を感染させる感染者となりうる可能性についても指摘されています。

 

ではどうしたら良いのか?

これらから見えてくるのは、布マスクはうつらないために使用するのは厳しい、一方でうつさないかというと限界もありそう、という印象です。

しかし、それらを踏まえてBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)の文献は推奨する姿勢を表明しています。

Covid-19: should the public wear face masks?

そうは言っても、やった分のメリットがこの未曾有の事態ではあるのではないか(意訳ですが)という主張です。

「布製マスクは粒子の放出をブロックする上で外科用マスクよりも15%だけ効果が低く、ただマスクを着用しない場合よりも5倍効果がある。布マスクはマスクをまったく着用しないよりも優れている可能性がある」と下の論文を援用して結論しています。

Testing the efficacy of homemade masks: would they protect in an influenza pandemic?

厳しい状況にある欧州や米国の現状を踏まえて、四の五の言わずにというところなのでしょうね。

一方で「マスクを着用すると、誤った安心感が吹き込まれ、他の衛生や社会的距離を守るための措置が守られなくなる可能性があります。同様に、不完全な方法でマスクを脱着すると、汚染が発生する可能性があります」と警鐘も鳴らしています。

また同じBMJの別の文献では、一般向けの布マスク研究がないこと、ただそれでもマスクは装着すべしと結論しています。

Face masks for the public during the covid-19 crisis

こちらの文献ではCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の推奨を掲載し、医療現場での不足を防ぐためか一般の方への医療用マスクは勧めないことの他、布マスクは2メートルの社会的距離の代替にはならない由も書かれています。

マスクをつけていても、距離には意識的にというのは重要ですね。

 

まとめ

最後に紹介したBMJ文献では「ランダム化比較試験の証拠を待たずに行動する時」とまで書かれていました。

同文献のCDC推奨でもマスクは「2歳未満の子供、呼吸に問題がある、意識がない、障碍がある、または支援なしにマスクを外すことができない人」は推奨されないとのことですが、他の方には勧められており、十分検討される状況ではあると考えられます。

マスクの欠品が続いています。

ただ日常的にチェックしているとネットでも売り出されていますので、うまく入手されると良いと考えます。

 

 

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