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新型コロナウイルス

新型コロナウイルスにはS型とL型があるという情報、髄膜炎の真相

新型コロナS型とL型の世界の広がり

新型コロナウイルスにはS型とL型があるという情報の真相

新型コロナウイルスにS型とL型があると聞いた時には、またもや虚偽情報が流れたのかと思いました。

ところが、今回のコロナウイルスに関しては様々な情報を筆者も収集しているので、それらを吟味すると、その説は誤りではないようです。

こちらが中国から発表された論文です。

On the origin and continuing evolution of SARS-CoV-2

新型コロナウイルスのゲノムRNAは約3万塩基存在するとされています。

そのうちの、8782番目と28144番目が違うグループが2つあるのです。

新型コロナS型とL型の違いの表

【On the origin and continuing evolution of SARS-CoV-2より引用】

28144番目がS型だと塩基CでL型だと塩基Tになっています。それに伴い、S型はセリン(S)をコードし、L型はロイシン(L)をコードするためということで、スモール・ラージのS・Lではないのです。

そしてこのS型を論文で示されている表で見てみると興味深いことがわかります。

この8782番目と28144番目の塩基が、今回の新型コロナの近い祖先であると考えられているコウモリのRaTG13に近いのはS型なのです。

仮説としては、この8782/28144の変化が起きたために、今私たちが認識している、軽症者は軽い症状だけれども、一転重症化した場合には重い経過をたどるという二面性があるL型が生じ、「新しいコロナだ」と認知されたー

しかし、実は旧来の症状中心であるS型はすでに「風邪」として広がっていたのではないか、という指摘なのです。

これは非常に興味深く、実際ありえないことではないと考えられます。

L型になって激しい症状を起こすようになったのでようやく認知されたけれども、前々からS型は存在していた可能性があるということなのですね。

この辺りを研究者としてわかりやすく一般の方に解説しているのが、「DNAパパ」さんです。YouTubeチャンネルもわかりやすい解説なので、次にリンクを貼っておきます。

DNAパパのYouTubeチャンネル

 

S型とL型の広がりは

Nextstrainというサイトを使用することで調べられます。

下記がリンクです。

S型とL型の広がり

新型コロナS型とL型の世界の広がり

【Nextstrain 3月10日現在 緑がL型、橙がS型】

中国においては、先ほどの論文によると、L型が武漢では96.3%、武漢外だと61.6%まで低下しています。

武漢内外のL型とS型の頻度

また日本は中国と同様にほぼ3/4がL型なのに対して、ヨーロッパはほぼL型、一方でアメリカや韓国はS型が優位です。

安直な結論は厳に慎まなければなりませんが、武漢の致命率の高さや、とても軽症(S型の可能性?)のケースがあることを説明しうるかもしれません。

もっとも、PCR検査は変異が起こりそうな部位を増幅させるものではないので、S型とL型を見分けることは現状困難でしょう。

また観察している範囲では、L型だと全部重症化するわけでもないため、現状においては基本方針は変化しないとは考えます。

なお予想なのですが、日本は実際はS型がもっと多いはずです(検査を限っているため)。逆に3月10日現在厳しい状態に置かれているイタリアなどはL型が優位なのは額面通りと考えられます。

いずれにせよまだまだ解明が待たれる事柄で、現状これで全てを説明しようとするのは早計です。

 

新型コロナウイルスと髄膜炎

また日本の山梨の事例で、髄膜炎を発症して意識がなく重篤な状態になった男性罹患者の存在が報じられています。

ウイルスに罹患すると、時にウイルス性の髄膜炎を起こすことがあります。

症状としては強い頭痛が特徴です。

ウイルス性の髄膜炎は、細菌性の髄膜炎と比べると症状は重度ではなく、軽度の場合は7~10日で自然軽快します。

ウイルス性の髄膜炎においては、実はコロナウイルスはメジャーではなく、有名なのは下記のようなウイルスです。

・エンテロウイルス

・おたふく風邪(ムンプス)ウイルス

・ヘルペスウイルス

・はしか(麻疹)ウイルス

・インフルエンザウイルス

・西ナイルウイルスなどのアルボウイルス

・リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス

意識障害まで起こしているということで、髄膜炎の中でも重度のものや、あるいは脳炎が考えられます。

髄膜は脳を包んでいる膜ですが、これが脳自体まで炎症を起こしてくると脳炎になります。これは意識障害のほか、様々な精神・神経症状を起こしてきます。

コロナウイルスによる脳炎というのは一般的によく聞かれるものではありませんが、文献などを調べると、起こしうると指摘されています。

同件に関しての参考文献を挙げておきます。

Human Coronaviruses and Other Respiratory Viruses: Underestimated Opportunistic Pathogens of the Central Nervous System?

Neuroinvasive and neurotropic human respiratory coronaviruses: potential neurovirulent agents in humans.

CORONAVIRUS AND ENCEPHALITIS

【追記】髄膜炎に罹患されたこの記事の方は、ICUで人工呼吸器の装着も経て、4/1回復していると報じられました。良かったです。

またこの症例は論文化されたので、以下から読むことが可能です。

A first Case of Meningitis/Encephalitis associated with SARS-Coronavirus-2

 

突然死との関係は?

今回の新型コロナウイルス感染症においては、当初より中国や最近だとイランで人が倒れる動画が撮影され、それが新型コロナによる突然死だと喧伝されています。

ただ、本当はどうでしょうか。

もちろん新型コロナでも急性心筋炎や急性心筋梗塞などの急性心障害を起こしえますから、それらの病態からという可能性自体はあります。

ただし、前後の背景がわからない動画でそう思い込むのは危険です。

今回、中枢神経系への感染がありうるとのことで、早速これを突然の昏倒と結びつける論が見かけられます。

ただ、筆者はウイルス性髄膜炎のみならず、人工呼吸器まで使用して回復することができた(後遺症はありませんでした)ウイルス性脳炎を複数担当医として診療したことがありますが、あのように突然昏倒というよりは、やはり前駆する症状があるのが通例でした。

そのため、急な昏倒を一対一で新型コロナウイルスの中枢神経系への感染ととらえるのも早計と考えられます。

脳炎からけいれんが起きてなどと説明しようとすればできるかもしれませんが、それにしては健常状態からいきなりの変化のように見え、そのような場合はむしろ心血管系の病態のほうがより考えられはします。

いずれにせよ、その前に症状はあるはずなので、突然死の原因として考えるにはまだ一定の疑問も残ります。

 

まとめ

最近のトピックである、新型コロナのS型・L型の別の話と、髄膜炎の話をしました。

皆さんが正確な情報を把握する一助となれば幸いです。

【お役立ち情報】コロナウイルスと消毒(よく尋ねられる有効な消毒液をまとめました)

◯ 62〜71%エタノール

◯ 0.5%過酸化水素

◯ 0.1%次亜塩素酸ナトリウム

なお、2020年現在、消毒用のエタノールは品薄状態が続いており、無水エタノール4と精製水1の割合で作成することが一つの解決策です。

ただし、 燃料用アルコールの「メタノール」と間違えないこと、無水エタノールは引火しやすいため火の近くで作成しないこと、また乾くまで擦り込むことが大切なので手からしたたる程度までの量を使用することなどが大切です。

次亜塩素酸に関しては下記のページが参考になります。

次亜塩素酸水を使う際の目安濃度・適切なppmについて

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム液の特性の比較

また、新型コロナでのデータではありませんが、ウイルスの中でも新型コロナに近いSARSに関して、食器洗いに使う市販の中性洗剤も消毒作用があることが確認されています。

0.5%の濃度で「100万個」のSARSウイルスを倒すことができ、中性洗剤には薄めても十分に消毒効果があることがわかったとのことです。界面活性剤が同ウイルスに対して有効とのことです。

こちらも選択肢に挙がることでしょう。

 

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