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医療情報

医学部入試不正問題の深層

早期緩和ケアクリニック外来の緩和医療専門医(緩和ケア医)大津秀一が解説する医学部不正入試問題と解決策、ホスピタリスト

相次ぐ入試不正の発覚

東京医科大学に続き、昭和大学でも医学部入試に関わる不正が明らかになりました(ただし昭和大学では不正の認識はないとコメントあり)。

もちろん入試は公正であるべきです。

一般家庭に生まれ育った私が医師になれたのも、公正な判断をして頂けたからでしょう。

ただ1つの事象を掘り下げると、様々な他の問題が見えて来ます。

今日はそれを考えてみたいと思います。

 

人手不足の病院医療現場

病院医療の現場は慢性的な人手不足にあります。

またそれぞれの科が適正な医師数になるかというと、そうではありません。

大変さと報酬も必ずしも比例しません。

医療現場に限らないですが、生活も仕事も大切にしたいという考えが当然になって来ています。

そうすると、比較的重度の患者さんを診療する科は敬遠されることになります。

ライフスタイルの変化での働き方への少なからぬ影響が予測される女性医師は、なるべくそれらへの影響が少ない科を選択しようとするのも理解できます

医師が少ない科は一人あたりの労働量が増え、加入したい医師が減るなど悪循環を形成します

 

そんな時、どうあっても現場にいられる若手男性医師がほしい

労働力を確保する時に、確かに若手男性医師は最適な存在です。

36時間連続勤務も常態化しています。

体力があり、ライフスタイルの変化での休職等が少ない若手男性医師は病院にとって大切な労働力であり、確保したいものでしょう。

それで、一部の医学部は男性に偏って合格を出したのだろうということは、各所で指摘されています。

確かにそれはそれで効果があるのでしょうが、見方によっては小手先とも言えます。

なかには、より優秀な女性の学生を押しのけて、先日の文科省局長が東京医科大学へ息子を裏口入学させたようなこともあったでしょう。

すると、結果的にはその大学卒の医師の質に関係しないとも言えません。

今、現場で若手男性医師が必要だ、という短い視野からの対策は、結局露見し、また長期的に見て良かったのかは難しいところです。

 

過重な労働量がまかり通っている状況を変えなければ

以前よりは少しずつ変わってきていますが、それでも(私の知る限りにおいて)病院では効率から遠い根性論が未だにまかり通っていると感じています。

おそらく変えようとすれば様々な方策があると思います。

私は、外科系医師が手術に集中できる体制を作り、手術の技量研鑽に邁進できるのが良いのではないかと常々感じていました。

具体的には、アメリカのようなホスピタリスト制度を導入し、役割を分担することが解決策の1つと考えます。

がんのホスピタリスト

ホスピタリストという病院に常駐する総合診療医(内科医)が担当医になり、全身管理を行い、各専門家をチームに入れて加療します。

ホスピタリストは全身管理のプロフェッショナルですから、外科系の医師は手術を中心とした本来の仕事に集中できます。

そしてまた現状の外科医の、手術もし、病棟も診て、外来もし、研究も教育もする、という業務過剰を軽減することが出来るでしょう。

乳腺外科、婦人科や泌尿器科、皮膚科などの外科系諸科も、入院管理自体は病棟業務専門のホスピタリストに任せることができるならば、専門に特化した仕事に集中できるのに……と感じました。

また、数多い書類仕事等の医師でなくてもできる仕事は当然委譲するべきでしょう。

 

しかし問題山積

けれども問題は一筋縄ではいきません。

現行の抑え気味の診療報酬では、たくさんの患者さんを入院させなくては病院は赤字になります。

けれどもたくさんの患者さんが入院すれば、業務量も増え、事故も起こりやすくなり、看護師などの負担が増えます。

診療報酬を低めに設定しているので、どうしてもこうなってしまうのですね。

診療報酬を増やすなんてけしからんという人もいますが、別にそれで病院の医師の給料が増えるわけでもありませんし、医療費が増えないからラッキーとも言い難いのですね。ここらへんは難しいところです。

では診療報酬が上がるかといえば、この社会情勢から基本は上がらないでしょう(上がっても少し)。

かくして病院は、キャパオーバーから(例えば)「ナースコールで呼んでもなかなか来ない」のが常態化し、それが医療職の手際の悪さだけに起因しているように患者さんには感じられることもあるという状況です。

私も入院時に呼んでも来ない側になりましたので、待つことの大変さや苦痛も理解できますが、薄利多売を強いられている状況が様々な軋轢やストレスを生んでいることもまた事実です。

システムの問題も大きいと思うのですが、現場で個々人の性格や資質のせいとしていがみ合ったりするのは残念なことです。

 

しかも偉くなるのは体制順応派

そしてなお難しいことに、そのようなブラック気味な現場でまた上に立ってゆくのも、基本はそのようなやり方が当たり前でその中で努力して昇進した方たちであるということです。

スーパーマンだったり、強力な適応能力を有されています。

偉い人から、「私の時はこれくらい当然で」という言葉が出ることがあるのも、ある意味理解しやすいです。

そのような現場にい続けることができた勝者が、上層に立つのです。

もちろん個々人で見ると、改革的なトップもいます。

けれども基本は、このシステムの中で上がってきているわけですから、大きく変えようとする意志が少ないことも稀ではありません。

また、そういうスーパーマンのような人が、行政の委員会等に呼ばれて、上からの方針を考えます。

そこでは何かアウトプットを出さないといけないと思うのでしょうね。

何らかこうしろという施策がそこで生み出されます。

またそれが玉石混交で、こんなことを本当にするの? というのも混じっていて、現場は疲弊します。

別件ですが、先日インターネット上の海賊版サイトの対策に関する検討会議では、喧々諤々の議論の末、結果が出なかったようです。

「ブロッキング法制化」結論出ず 3時間半の激論、政府検討会は無期限延期に

ただ、このような形も(仔細はわかりませんが)、あっても良い形だと思いますね。

何でも「上がしたほうが良い」という固定観念から結果的には脱却していることになりますしね。

医療に限ったことではありませんが、システム作りに関わるために招集される方々は、良くも悪くも並外れていることが多いです。

また既存の枠内の成功者が多く含まれます。

システム自体の枠を変えるのは容易ではないことですね。

 

しかし出来ることはあるはず

問題点を並べてきました。女性の学生を押しのけて男性を取ってきたのは、もちろん許容できませんが、根が深い問題なのです。

改革する権限がある上に立つ方は、そのシステムでの成功者なので全体を変えることに積極的と言い難いこともある、という難しさもあります。

一方で、私が現場に出た頃(研修医時代)は、救急車をタクシー代わりに使う方も多かったですし、完全主治医制が当たり前で、年に病院を離れられたのは数日(それ以外はいつでも急行できるように病院周辺待機)だったことを考えると、だいぶ患者さんのご理解も病院の働き方も変わってきたと思います。

適度な余裕とストレスがあることが、患者さんに良い医療を提供することにつながります。

働き方に手を入れねば、結果的に患者さんにデメリットが回ってきてしまいます。

今回のことをきっかけに、大学を懲らしめて終わりとするのではなく、大病院での働き方改革が進むことに期待したいです。

女性医師が多くても、年長の医師がいても、病気の医師がいても、それぞれがそれぞれの無理ないベストを尽くすことで回るように現場の環境が変わっていけば良いと思いますね。

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