★守る医療―緩和ケア―
がんに対する治療は、時として厳しいものです。
副作用を抑える治療なども進歩しておりますが、大なり小なり患者さんは大変な思いをされることもあるでしょう。
ただしかし、忙しい病院の外来では、生活上の注意や不安なことを十分に専門家から聞ける時間が潤沢にあるとは限りません。
非常に強い力を持つ半面、身体にも影響する攻めの医療たるがんの治療だけではなく、生命力を保持し、身体を守る治療もまた重要です。それらは両輪です。
病気の苦痛は、人の心身に大きな影響を与えます。
また、どのように過ごしたら良いのか、食事は? 運動は? など様々な「自身ができること」にまつわる悩みは生じるのがむしろ当たり前だと思います。
それらの相談に乗り、その方自身が持っている力を十二分に発揮できる支援を行うことが、緩和ケアにとって大切な要素となります。
その方の持っている力を引き出して、強い治療に負けない身体を作るお手伝いをすることも緩和ケアの役目だと考えます。
その点では、緩和ケアは強い守りの医療です。
そして攻めと守りがいずれも重要であるように、片方だけで良いというものではありません。両方が必要なのです。