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医療用麻薬

カロナールvsロキソニン 違いと併用 効果の早さ・強さと副作用を医師が解説

カロナールとロキソニンの比較とがんの痛みの解説です

【2020年2月5日更新版】幅広い痛みに効く、カロナール(アセトアミノフェン)とロキソニン(ロキソプロフェン)の2薬の違いと併用は可能かどうか、効果の早さ・強さと副作用を痛み治療の専門家がわかりやすく解説します。

私は緩和ケア医という痛みなどの症状の専門医で、痛み止めに精通しています。

これまで多くの方にカロナール(アセトアミノフェン)やロキソニン(ロキソプロフェン)を処方してきました。

最初に結論をお伝えしますと、

【カロナールとロキソニン】

◎違い……………作用する場所。

◎併用……………可能。がんの痛みなどでは行われる。ただ自己判断で行うのは禁物。

◎効果の早さ……いずれも早い。30分程度で効果発現。

◎効き目の強さ…一般的な痛みでは遜色ない。炎症が強い場合は、ロキソニンが向く。

◎副作用…………全般的にカロナールのほうが少ない。

◎他の注意点……風邪やインフルエンザの場合は、カロナールのほうが良い(理由は後述)。

ただ、どちらが勝っているというものではなく、合った病態に対して使用することが大切です。

それぞれの薬について説明していきます。

 

カロナール(アセトアミノフェン)とは?

カロナールは、中枢性に(脳に)作用する痛み止めです。

薬剤の名前はアセトアミノフェンです。

安全性が高く、小児でも用いられます。

よくロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs;エヌセイズと読みます)と並べて解説されることが多いので、一般の方や医療者でも間違って認識されている方もいますが、ロキソニン等の非ステロイド性抗炎症薬とは作用する場所も異なり、全く違った薬剤となります。

また解熱・鎮痛効果がありますが、抗炎症効果はありません

市販薬ではノーシンホワイトがアセトアミノフェン300mg(2錠中)ですね。

 

ロキソニン(ロキソプロフェン)とは?

ロキソニンは、末梢性に(脳や中枢神経系以外に)作用する痛み止めです。

薬剤の名前はロキソプロフェンです。

切れ味が良いので、頭痛などで使用経験がある方も多くいるでしょう。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の代表的な薬剤で、腎機能障害があると使用し難いですし、連用すると胃粘膜障害のリスクもあります。

NSAIDsは炎症物質の発生を抑えることで、痛みを緩和します。

解熱・鎮痛効果と抗炎症効果があります

風邪の場合ですが、ロキソプロフェン使用群のほうが若干(統計的に意味のある程度ではないものの)回復が遅延したという報告があります<参考文献>。

また小児においてですが、インフルエンザ等の後にまれに起こるライ症候群という急性脳症のリスクを他のNSAIDsが上昇させるとされており、ロキソニンも使用には慎重になったほうが良いでしょう。

ただ、インフルエンザでもうロキソニンを使ってしまったという場合も、ほとんどの例で心配はいりません。ただ今後なった場合はカロナールを使うのが安全性は高いでしょう。

一方で、2020年の新型コロナ流行においても、海外でイブプロフェンを使うべきではないというアナウンスが為されたとのことですが、ウイルス感染症では基本的にはNSAIDsは使用回避したほうが良いでしょう。

 

効くスピードは?

ロキソニンのほうが早いイメージがありますが、実際はどうでしょうか。

実は最高血中濃度到達時間は、

カロナール 0.46±0.19(時間)

ロキソニン 0.45±0.03(時間)

でほとんど遜色ありません。

カロナールも効きが早いです。

30分ほどで最高濃度に達するということですね。

 

持続時間は?

血中濃度が半分になる時間は次の通りです。

カロナール 2.36±0.28(時間)

ロキソニン 1.22±0.07(時間)

ロキソニンは効果が失われるのも早めですね。

ただ効果消失時間≠上記の半減期なのでご注意ください。

一般的にはどちらも数時間効果は持続します。

 

がんの場合はどうか?

実はがんの痛みにも、カロナールとロキソニンは効きます。

まずはカロナールで開始するのが、現在は標準的です。

一方で、とても大切なことをお伝えします。

「この痛み止めが効きません」

そうおっしゃる患者さんがいます。

がんで痛い場合、それは量が足りていない、あるいは複数の薬剤を組み合わせていないので一つの薬剤だけで力不足となっていることが少なくありません

下記も併せてご覧ください。

癌で痛み止めが効かない時どうしたら良いか

カロナールやロキソニンは、そもそも基本的な薬剤で、がんの中等度以上の痛みにこれらの薬剤だけで緩和するのは一般に困難です。

「カロナールが効きません」あるいは「ロキソニンが効きません」

というのは全く珍しいことではなく、そして悲観するべきことでもないのは強調しておきます。

なお、がんの痛みの場合は、カロナールとロキソニンの作用場所が違うことを利用し、併用することもあります。

ただ風邪や一般的な痛みではそこまでする必要はないので、一剤で治療するのが基本です。

 

カロナールとロキソニン、最初はどっち?

ロキソニンは切れ味が鋭く、体感できる緩和効果が強いのですが、いかんせんNSAIDs共通の副作用として胃粘膜障害や腎機能障害の懸念があります。

それなので安全性で勝るカロナールで開始するほうが無難です。しかもデータで示したように、効きのスピードも遜色ありません。

風邪やインフルエンザの場合は、基本はカロナールで、ロキソニンやイブ(イブプロフェン)が優先ではありません。

例外的に、がんの骨転移痛のように、明らかに炎症が強い痛みでは、NSAIDsではないと緩和効果がはかばかしくないこともあります(そして医療用麻薬も必要不可欠です)。

がんの場合は、カロナールで開始して効果不十分な時はロキソニンを重ねるという手段があります。けれども、一般的な痛みに関してそれを行うのは過剰であり、自己判断での併用は止めましょう

いずれにせよ基本的な鎮痛法の素養は多くの臨床医が身につけているものの、それでもうまくいかない場合の症状緩和には知識と経験が必要であり、緩和ケアの専門家などに早めに相談するのが良いでしょう。

アセトアミノフェン製剤はいくつか市販のものがありますが、例えばノーシンホワイトなどがそれに該当します。

【お役立ち情報】コロナウイルスと消毒(よく尋ねられる有効な消毒液をまとめました)

◯ 62〜71%エタノール

◯ 0.5%過酸化水素

◯ 0.1%次亜塩素酸ナトリウム

なお、2020年現在、消毒用のエタノールは品薄状態が続いており、無水エタノール4と精製水1の割合で作成することが一つの解決策です。

ただし、 燃料用アルコールの「メタノール」と間違えないこと、無水エタノールは引火しやすいため火の近くで作成しないこと、また乾くまで擦り込むことが大切なので手からしたたる程度までの量を使用することなどが大切です。

次亜塩素酸に関しては下記のページが参考になります。

次亜塩素酸水を使う際の目安濃度・適切なppmについて

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム液の特性の比較

また、新型コロナでのデータではありませんが、ウイルスの中でも新型コロナに近いSARSに関して、食器洗いに使う市販の中性洗剤も消毒作用があることが確認されています。

0.5%の濃度で「100万個」のSARSウイルスを倒すことができ、中性洗剤には薄めても十分に消毒効果があることがわかったとのことです。界面活性剤が同ウイルスに対して有効とのことです。

こちらも選択肢に挙がることでしょう。

 

 

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