一般に、治療ができない=緩和ケア、という使われ方を長くされてきました。
BSC(ベストサポーティブケア)、つまり支持的な治療を継続する、という本来はより適切な言葉があるのですが、今も「治療が難しい」と伝えられなくてはいけないところに、「緩和ケアに切り替えましょう」とか「緩和ケアに専念しましょう」と伝えられるケースがあり、それが社会に広まって、終末期=緩和というイメージの形成に関与してしまっているところがあります。
実際に、「まだ終末期ではないので緩和ケアを受けたくない」と、本来苦痛が和らげられるべき方が、誤解によってそうならなかった……というケースはしばしばあります。
できることがない=緩和ケア、という誤解もあります。
諦めの医療と勘違いされていることもあります。
しかし、緩和ケアはその方のQOL(生活の質)を保持する、という点においては、非常に諦めが悪く「できること」を探す医療です。
ただその「できること」が、命を一分一秒でも長くする、ということや、病気を治す、ということではなくて、「苦痛が少なく」「良い時間を過ごすこと」に関しては「やれること」を追求し、諦めない、ということです。
とにかく終末期=緩和ケアではありませんので、その点はぜひ知っておいて頂ければありがたいです。