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医療用麻薬

フェントステープの使い方や利点と注意点

早期緩和ケアクリニック外来の緩和医療専門医(緩和ケア医)大津秀一が解説するフェントステープ0.5mg

フェントステープ0.5mg製剤が発売される

フェントステープ(商品名)の0.5mg製剤が発売されています。

フェントステープは医療用麻薬フェンタニルの貼付薬です。

フェンタニルの貼付薬は最初にデュロテップパッチ(商品名)が出ました。

デュロテップパッチは3日に1回貼るタイプの薬剤でしたが、その後フェントステープが出て毎日貼り替えとなりました。

今はフェントステープのほうがよく使われているようですね。

れっきとした医療用麻薬なのですが、飲むよりも心理的障壁が少ないのか、患者さんには一般にうけが良い印象があります。

他にも、これはフェンタニルの薬剤の特徴で、モルヒネやオキシコドン、ヒドロモルフォンといった他の強オピオイド薬(≒医療用麻薬と考えて良い<一般の皆さんは>)よりも便秘が軽いです。

作用するオピオイド受容体の種類が少ないための特徴です。

これまでフェントステープの最小用量は1mgでした。

これはモルヒネ換算30mg/日になります。

ただ、非常に少ないオピオイド量で痛みがマネジメントできる患者さんもいるので、より少ない用量の設定が待たれていました。

フェントステープの最小用量が0.5mgになるので、モルヒネ換算15mg/日と同じということになりますね。

 

フェントステープ0.5mgの衝撃とは

大学病院勤務時代に、製薬会社の情報提供担当者が上記薬剤の治験をしている由を教えてくれました。

その時は、「フェンタニル貼付剤”から”開始することを目指すため」と言っていました。

フェンタニル貼付剤には、ある使用上の特徴があります。

それは、フェンタニル貼付剤からは始められない(添付文書上)ということです。

それにはいくつか理由があり、①そもそも濃度上昇が緩やかなので薬剤量の調整薬としては向いていない、②脂溶性で脳への移行性も良いのでいきなりフェンタニルから開始すると呼吸抑制等の副作用が懸念される、などがあります。

意地悪でフェンタニル貼付剤からの開始を止めているわけではないのです。

ただしフェンタニル貼付剤にも利点があり、A)飲めなくても使用できる、B)便秘が他薬より軽い、などがあり、フェンタニルから開始したいと願うケースもあるのは事実です。

もちろん専門家によっては、「いやいや、それでも脳移行性のことがあるからやめるべき」という方もいるかもしれません。ただ、専門家がしっかり監督した上での対象を限定した加療においては、モルヒネ換算15mg/日程度のオピオイドで呼吸抑制の懸念は限りなく低いと思いますけれどもね……(ここは個人の見解です)。

現在、フェントステープからの開始に向けて研究が為されているとのことです。

 

フェントステープの厳重注意と使用法

ある会に出た際に、その地域では「フェンタニル貼付剤を増やし始めると、あの患者さんは死期が近い」と医療者(医師ではない)は予測する、という話を聞いて驚きました。

フェンタニル貼付剤は貼り薬なので、飲めない人にも貼れてしまいます。

したがって、本来安全弁となるはずの、過量だと眠気が増えて飲めなくなる、ということがなく、判断を誤ると容易に過量投与となります。

察するに、死期が迫っている患者さんの身の置き所のなさ(せん妄などが原因)に、その地域ではフェンタニル貼付剤を増やしているのではないかとうかがわれました。

身の置き所のなさがせん妄が原因だと、フェンタニル貼付剤をどんどん増やすのはむしろ逆効果です。

おそらくはしっかりと観察すればせん妄が出ていると思うのですが、「痛いですか?」という問いかけに、顔をしかめたり、うなずいたり(けれども言語的には痛みの様態や場所などは一切表現できないせん妄なので)するだけで、機械的に(痛いと捉えて)フェンタニル貼付剤を増やしているという対策をしている可能性があると考えられます。

貼付薬は手軽に見える半面、用量調節にはそれほど向いていないとか、飲めない人への投与では過量とならないような注意が必要だとか、貼付部位を加温すると良くないとか、気をつけるべきところが多い薬剤なのですが、使い方によっては上記のような不利益がもたらされるので、できるだけ医療用麻薬の専門家に関与してもらうのが良いでしょう。

 

 

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