末期癌のモルヒネの費用
モルヒネの費用を気にされている方が多いようです。
ただ注意して頂きたいのは、末期癌でなくてもモルヒネを使用する、ということです。
モルヒネを使うから末期ではないのでその点は注意しましょう。
モルヒネは高価? 安価?
モルヒネは、命と引き換えに意識を低下させて苦痛を緩和する、という誤解がまだ一般には存在します。
しかしこれは事実ではありません。
◎命は縮まない
◎意識は低下しない
◎痛み止めとして使う
◎万能でも”めちゃくちゃ強く”もない
というのが事実です。
1つの薬剤で問題が全て解決するような万能薬ではないのです。
もちろんがんや病気を悪くはさせませんが、病気を治す効果もありません。
そして、医薬品の値段に大きく関わる発売時期で言えば、モルヒネは昔からある薬剤です。
勘が良い皆さんは、もうおわかりになったでしょう。
モルヒネの値段はけして高くありません。
末期癌となると、飲めなくなることが多いでしょう。
すると、注射薬に切り替えます。
その注射薬の値段(2019年1月現在)は下記です。
モルヒネ塩酸塩注射液10mg 299円/管
モルヒネ塩酸塩注射液50mg 1346円/管
実費となるのは、保険割合に応じてですから。3割負担ならば、10mgはおよそ90円、50mgは403円となります。
大量に使用しなければならないケースならばともかく、60mg/日程度の量ならば、一日実費で500~550円程度です。
もちろん、ひと月の総医療費が高額療養費制度の上限にかかるようならば、どれだけ使用してもそれ以上の負担は増えません。
その他にかかる費用
医療用麻薬は単発の注射ではなく、持続的に皮下あるいは静脈から薬液を投与することによって行います。
それに対して、ポンプが必要です。
少量を持続的に送り込むので、「精密持続点滴注射加算」という診療点数が1日80点付きます(かかります)ので、通常の1点10円ならば、800円/日となります。
3割負担ならば、240円/日です。それに点滴実施の費用が3割負担で150円/日程度かかります(入院外の場合)。
在宅医療を受けている場合だと(1点10円として、3割負担の場合)、在宅悪性腫瘍等患者指導管理料が4500円/月、 注入ポンプ加算3750円/月などがかかりうるでしょう。両方かかったとしても、それでも1日当たりならば実費で275円です。
これらの手技や仕組みによる値段は、上記を全部足しても665円/日です。
薬剤の量で値段が変わりますが、仮にモルヒネ注射薬60mg/日を連日使用した際は、上記の加算が全部取られたとしても約1200円/日の実費(3割負担)です。1割負担ならば400円/日です。
これは在宅の場合で、病院だと加算等がかからないので、持続注射自体の値段はもっと安くなります(そのかわり入院費がかかります)。
またもちろん保険診療なので、上限があります(高額療養費制度)。
医療費は一円でも安くあげたいというのが心情ではありましょう。
けれども、限られた時間を苦痛少なく過ごすための出費としては、上記程度の値段は許容されるのではないでしょうか。