急な痛みにセレコックスかアセトアミノフェンか
風邪で発熱している。
打撲の痛みがある。
のど風邪でのどが痛い。
痛み止めがほしい・・・という時、あるかもしれません。
手持ちを見ると、カロナール(アセトアミノフェン)とセレコックス。
さて、どちらを飲むか? という問いへの回答がこの記事です。
先にお断りしておきますが、基本は医師と相談しましょうね。
なお慢性の痛みの専門家に緩和ケア医がいることを覚えておかれると良いでしょう。
答えはカロナール1択
答えはカロナール1択です。
それはセレコックスとカロナールを比べた時の違いから生じています。
セレコックスとカロナール、何が違うか?
実は同じ痛み止めでもセレコックスとカロナールは全然違う薬です。
セレコックスはロキソニンやイブと同じ、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)です。
カロナールは成分がアセトアミノフェンで、NSAIDsとは異なります。
保険適用の症状も異なります。
【アセトアミノフェン】
・下記の疾患並びに症状の鎮痛
頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、がんによる疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形性関節症
・下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
・小児科領域における解熱・鎮痛
【セレコックス】
・下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎
・手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛
見て頂ければわかりますように、セレコックスは「上気道炎」の保険適用がないのです。
他にもある違い
ただ保険適用の問題ばかりではなく、セレコックスが急性の痛みに必ずしも適していない理由があります。
それは薬効の立ち上がりです。
薬が最高血中濃度(最高の効果を示しうる点)に到達する時間を比べてみるとそれがわかります。
最高血中濃度到達時間は、これまで紹介した諸鎮痛剤と比べると、
カロナール 0.46±0.19(時間)
ロキソニン 0.45±0.03(時間)
イブプロフェン(200mg) 1.98±0.98(時間)
セレコックス 2±0.9~1.4(時間)
なのです。
カロナールやロキソニンの立ち上がりは早く、30分ほどで最高濃度に達します。
経口薬なのに早いですね。
一方でセレコックスは2時間ほどかかります。
急性の痛みにはあまり向いていないと言えそうです。
実際、私も自分で試したことがありますが、イブやセレコックスは解熱や鎮痛の効果が出るのがやや遅いですね。
セレコックスの使うべきところや利点は?
セレコックスは下記でも解説しました。
ロキソニンとの違いは、COX-2選択的阻害薬と言って胃粘膜障害等の副作用が相対的に軽い特性が利点です。
そのため長期投与には比較的適しているとは言えそうです(ただし上述の記事で紹介したように、血栓のリスクには注意が必要)。
また、慢性的に炎症を抑える効果を期待して病気自体の改善を企図し、がん治療の補助的効果を目指して研究が組まれましたが、残念ながら単剤でははかばかしい効果が得られていません。
いずれにせよ、急性の痛みや発熱ではなく慢性的な痛みに対して使用すべき薬剤です。
セレコックスかアセトアミノフェンか まとめ
急な痛みや発熱には、薬効からも保険の観点からも、カロナールが良いでしょう。
慢性痛の場合には実際に試してみて効くほうを選択することになりますが、長期使用はどのような薬剤も思わぬ問題が出る可能性もあるので要注意です。
慢性痛の痛み止めは、その副作用に関してもよく熟知している痛みの専門家に相談しましょう。
なお、セレコックスは市販薬はありません。
アセトアミノフェンに関しては市販薬だとノーシンホワイトがアセトアミノフェン300mg(2錠中)ですね。