★緩和ケアの料金について
日本で緩和ケアを受けるにあたっての料金は下記のようになります。
① 緩和ケア外来………………………外来緩和ケア管理料 2900円/回
② 緩和ケアチーム(入院)…………緩和ケア診療加算 3900円/日
③ ホスピス・緩和ケア病棟入院……緩和ケア病棟入院料1 52070円/日(31~60日 46540円/日,61日以上 34500円/日)
① 緩和ケア外来のメリット・デメリット
緩和ケア外来のメリットは安いことです。
3割負担の方だと、2900×0.3で、870円のご負担です。
しかも医療用麻薬が出ていない場合は、この外来緩和ケア管理料も取られませんから、再診料などのみとなって、もっと安くなります。
問題点は、A)必ずしも希望すれば受診できるとは限らないこと、B)多くの病院が、自院に通院中の患者さんのみを対象としていること(別の病院へかかっている場合は受診できない)、C)緩和ケアが専門の医師が担当しているとは限らないこと(他の科の医師が緩和ケア外来も行っている場合もあります)が主として挙げられます。
安価なことは最大のメリットで、おかかりの病院に緩和ケア外来があるのならば、まずは受診を担当医等に相談するのが良いでしょう。
② 緩和ケアチーム(入院)のメリット・デメリット
緩和ケアチームは、医師だけではなく多様な職種から成るチームであり、患者さんを様々な専門家が支えるという点がメリットになります。
1回の回診を受けると、3900円/日かかります。
3割負担の方だと、3900×0.3で、1170円のご負担です。
入院日が増えますと、回診日も増えますので、費用はかかります。
例えば入院中に30回の回診を受ければ、117000円(3割負担ならば、35100円の自己負担)となります。
ただし、入院されている方は、高額療養費の限度額を超えることが多く、ある程度以上の負担はならされて一律の負担となります(収入によって上下あり)。
したがって、毎日緩和ケアチームの回診を受けても、もともとの病気の治療で限度額を超えてしまっているのならば、ほとんど身銭を切らずに緩和ケアの専門家たちの関与を受けることができるのは大きいです。
問題点は、A)緩和ケアチームの実力は千差万別であること、B)他の科を主として行っている医師が緩和ケアも行っているという場合が実際には存在すること、C)緩和ケアチームと担当医チームの協働で治療にあたるので必ずしも緩和ケアチームが力を十分発揮できるとは限らないことが挙げられます。
また①の外来を運営している緩和ケアチームもあれば、そうではない機関もあるので、D)外来をやっているとは限らないこと(入院→外来とシームレスに対応するのが難しい場合もあること)も挙げられるでしょう。
ただ、高額療養費の限度額を超える入院の場合ならば、先述したように、負担は増えずに緩和ケアチームの関与を受けられます。ぜひ使いこなすのが良いと考えます。
③ ホスピス・緩和ケア病棟(入院)のメリット・デメリット
入院費用をひっくるめての値段なので、52070円/日(緩和ケア病棟入院料1で30日以内の場合)となります。
3割負担の方だと、50510×0.3で、15621円/日のご負担です。
ただ高額療養費の限度額を1週間以内に超えますので、それ以上の負担はなくなり、多くの方は10万円/月におさまるでしょう(ただし個室料などは別途)。
メリットは、緩和ケアの専門家が密に関与してくれることです。
施設ごとに特色があり、ハードも様々なものがあり、自らが好まれるところに入院されるのが良いでしょう。
デメリットは、A)必ずしも症状緩和目的の外来を行っていない、というケースがあることでしょう。入院予約の外来のみ行っているホスピス・緩和ケア病棟もあります。
また診療報酬の改定によって、現在は入院期間が長くなればなるほど、病院が損になるようになってしまいました。そこで、ずっと最期まで入院したい、という希望にそうのがやや難しくなっています。またB)待ちが長い、C)抗がん剤治療中は入院予約外来を受けない施設がある、というような、アクセスが難しいという問題点があります。
昔も今も、ホスピス・緩和ケア病棟の入院を待っている間に……という状況があるのは変わりありません。一般には、抗がん剤などのがん治療を受けることを早い段階でやめられた患者さんが、元気なうちに申し込んでおかれるという使い方に向いています。
ただ以前と比べ、入院日数が延びるにつれて診療報酬が下がるという改定によって、施設から短期間の利用を推奨される場合がありますから、入院予約外来にて十分御相談頂くと良いと存じます。
当院受診の費用に関しては、費用のページをご覧ください。