はじめに
抗がん剤治療は、多くの方にとって
「治療であると同時に、しばしば大きな負担」でもあります。
吐き気やだるさ、痛み、しびれ。
体のつらさだけでなく、
「この治療を続けてよいのだろうか」
「本当に意味があるのだろうか」
といった気持ちの揺れを抱える方も少なくありません。
それらは、決して弱さではありません。
抗がん剤治療に向き合っているからこそ、
自然に生じる悩みです。
このページでは、
抗がん剤治療中によくある悩みと、
それに対して緩和ケアがどのように関われるのかを
整理してお伝えします。
抗がん剤治療で多くの方が抱える悩み
抗がん剤治療中、次のような声をよく耳にします。
副作用がつらく、日常生活が保てない
治療のたびに体力が落ちていくのが不安
効いているのかどうか、よくわからない
主治医には聞きづらいことがある
「ここまで続ける意味があるのか」と迷っている
これらは、特別なケースではありません。
むしろ、多くの患者さんが感じていることです。
「つらいけれど、言い出せない」という現実
抗がん剤治療中の方の中には、
主治医が忙しそうで相談しづらい
治療を否定していると思われたくない
「我慢すべきものだ」と思っている
といった理由から、
つらさを十分に伝えられずにいる方も少なくありません。
しかし、
つらさを我慢し続けることが、必ずしも治療の成功につながるわけではありません。
緩和ケアは「治療をやめる医療」ではありません
緩和ケアという言葉に、
「治療が終わった人の医療」
という印象を持たれる方もいらっしゃいます。
けれど実際には、
緩和ケアは抗がん剤治療と並行して受けることができる医療です。
副作用のつらさを軽減する
日常生活を保つ工夫を一緒に考える
治療への不安や迷いを整理する
今後の選択肢を冷静に考える支援をする
こうした役割を担っています。
抗がん剤治療中こそ、緩和ケアが役立つ場面があります
抗がん剤治療の悩みは、
「症状が強くなってから」だけに生じるものではありません。
まだ治療は続いているが、心身の負担が大きい
副作用が軽くても、精神的につらい
先の見通しが立たず、不安が膨らんでいる
こうした段階から、
緩和ケアが関わることで、
生活の質が保たれやすくなることが知られています。
相談することで「選択肢」が見えてくることがあります
緩和ケアの役割は、
「こうしなさい」と決めることではありません。
今の状態を一緒に整理する
何に一番困っているのかを言葉にする
治療を続ける・調整する・休むなどの選択肢を確認する
そうしたプロセスを通じて、
ご本人が納得できる選択を支えることです。
当院でのご相談について
当院では、抗がん剤治療中の方の
副作用への対処
生活の工夫
治療に対する迷いや不安の整理
について、
緩和ケア専門医が時間を確保してお話を伺っています。
「今すぐ何かを決める必要がある」
という場ではありません。
一度立ち止まり、
これからを考えるための相談の場として
ご利用いただけます。
👉 抗がん剤治療に関する個別のご相談はこちら→相談ページ
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最後に
抗がん剤治療は、
「頑張るか」「諦めるか」
という二択ではありません。
つらさを減らしながら、
自分らしい時間を守る選択肢もあります。
悩みを抱えたまま、一人で耐える必要はありません。
