抗がん剤治療の途中で、
「少し休みましょう」
「いったん間隔をあけましょう」
そう言われたとき、あるいは自分でそう思ったとき、
「休んだら、もう戻れないのでは」
「治療を休む=負けなのでは」
そんな不安が頭をよぎる方は少なくありません。
ですが、抗がん剤を休むことは、必ずしも後退ではありません。
「休薬=あきらめ」と感じてしまう理由
多くの患者さんが、治療を「前に進むもの」として捉えています。
- 点滴を続けている=戦っている
- 休む=止まる=負け
そう感じてしまうのは、とても自然なことです。
さらに、
- 周囲に「頑張っている自分」を見せてきた
- 家族の期待を背負っている
- 「ここで弱音を吐いてはいけない」と思っている
こうした背景が重なると、休むという選択が、強い罪悪感を伴うこ
医学的には「休むこと」が戦略になることもある
抗がん剤治療は、
効かせることと同時に、体を壊しすぎないことが重要です。
副作用が強くなりすぎると、
- 体力が大きく低下する
- 回復に時間がかかる
- 結果的に治療継続が困難になる
という本末転倒な状況に陥ることもあります。
そのため医療の現場では、
- 一時的な休薬
- 投与量の調整
- スケジュールの変更
は、治療を続けるための「前向きな調整」として行われます。
「休む=何もしない」ではない
ここで大切なポイントがあります。
抗がん剤を休んでいる間も、
治療が完全に止まっているわけではありません。
- 副作用の評価
- 体力・栄養状態の立て直し
- 痛みや不快症状への対処
- 気持ちの整理
これらはすべて、次の治療につながる重要な医療行為です。
この時期に緩和ケアが関わることで、
「休む時間」を意味のある時間に変えることができます。
緩和ケアは「休む決断」を支える医療
緩和ケアは、
- 治療をやめさせるため
- 延命をあきらめるため
の医療ではありません。
むしろ、
- いま何がつらいのか
- どこまでなら続けられそうか
- 何を守りたいのか
を一緒に整理し、
「続ける」「休む」「変える」という選択を支える医療です。
まとめ
抗がん剤を休むことは、
逃げでも、負けでもありません。
体と心を立て直し、
もう一度前に進むための、大切な一手になることもあります。
もし今、
「休みたいけど、怖い」
「誰にも言えない」
そう感じているなら、
その迷いごと、相談していいのです。













