「こんなこと、聞いていいのかな」と思っていませんか
がんの治療が始まると、
診察室ではどうしても「治療の話」が中心になります。
一方で、患者さんの心の中にはこんな疑問が残りがちです。
- これって、どこまで本当のことなんだろう
- 主治医の説明を、ちゃんと理解できている自信がない
- いま感じている不安は、誰に話せばいいのか分からない
けれど外来の限られた時間では、
「こんなことを聞いたら迷惑では」と思ってしまい、
言葉を飲み込んでしまう方が多くいらっしゃいます。
実際に多い「聞けなかった質問」
緩和ケア外来や相談の場では、
次のような声をよく耳にします。
- 「治療が効いているかどうか、正直なところを知りたい」
- 「この治療を続ける意味は、いまもあるのか」
- 「もし悪くなったら、どこで、どう支えてもらえるのか」
- 「家族にどう説明すればいいのか分からない」
これらは、
決して特別な質問ではありません。
むしろ、多くの方が同じことで悩んでいます。
聞けなかった=理解できていない、ではありません
大切なのは、
「聞けなかった自分が悪い」と思わないことです。
がん治療の説明は専門的で、
気持ちが動揺している中では、
どうしても頭に入ってこない部分が出てきます。
それは自然な反応です。
こうした疑問は、治療と同じくらい大切です
- 不安が強いまま治療を受ける
- 納得できないまま選択を迫られる
- 誰にも相談できず、ひとりで抱え込む
これらは、
心身の負担を大きくし、結果的に治療にも影響します。
だからこそ、
症状だけでなく「気持ち」や「理解」を整えることも
医療の一部だと考えています。
緩和ケアは「症状が出てから」だけのものではありません
緩和ケアという言葉から、
「痛みが強くなってから」「最期の段階で受けるもの」
という印象を持たれる方も多いかもしれません。
しかし実際には、
- 治療中の不安
- 説明をどう受け止めればいいか
- 今後の見通しをどう考えるか
こうした段階から関わることで、
気持ちが整理され、
「聞けなかったこと」を整理する場所として
もし、
- 主治医の説明をもう一度整理したい
- 誰にも遠慮せず質問したい
- 家族とどう話すか相談したい
そう感じているなら、
一度立ち止まって考える時間があってもいいと思います。
急いで答えを出す必要はありません。
まとめ
- 主治医に聞けなかった疑問は、誰にでもある
- それは弱さでも、失敗でもない
- 不安や迷いは、医療として扱ってよい
- 整理することで、次の一歩が見えやすくなる
がんの治療は、
「治療を受けること」だけではありません。
理解し、納得し、自分なりに進むことも
大切なプロセスです。















