――それは「弱さ」ではなく、自然な反応です
はじめに
がんの診療を受けている中で、
- 医師の説明が頭に入らなかった
- 話を聞きながら、胸が苦しくなった
- 帰宅してから、どっと疲れが出た
そんな経験はありませんか。
「自分が弱いのだろうか」
「もっと冷静でいなければいけないのではないか」
そう思われる方も多いのですが、
それはごく自然な反応です。
医師の説明が「つらくなる」理由
主治医の説明がつらくなるのは、
説明の内容が間違っているからでも、
医師の配慮が足りないからでもないことがほとんどです。
多くの場合、理由は次の3つです。
① 情報量が多すぎる
治療効果、限界、副作用、今後の見通し。
短時間で大量の情報を受け取れば、
② 感情の整理が追いついていない
頭では理解しようとしていても、
心はまだ現実を受け止めきれていない段階かもしれません。
③ 「決断」を迫られている感覚
説明の裏側に
「次を決めなければならない」
という圧を感じると、人は強いストレスを感じます。
つらいと感じたとき、無理に整理しなくていい
大切なことは、
その場で理解しきろうとしなくていいということです。
説明を聞いた直後に、
- 納得できない
- 判断できない
- 何も考えたくない
そう感じるのは、異常ではありません。
むしろ、
きちんと向き合っている証拠でもあります。
「もう一人、医療者が必要なとき」
主治医は、治療を進める責任を担っています。
一方で、
- 気持ちの揺れ
- 迷い
- 不安
- 本音の部分
をすべて主治医に預けるのは、難しいこともあります。
そういうときに必要なのが、
治療を進める医師とは別の立場で話を聞く医療者です。
緩和ケアは「症状が出てから」だけではありません
緩和ケアというと、
「痛みが出てから」
「治療が終わってから」
という印象を持たれがちですが、
実際には、
- 説明がつらかった
- 気持ちの整理ができない
- 今後のことを落ち着いて考えたい
こうした段階で相談される方も多くいらっしゃいます。
早い段階で話すことで、
- 気持ちが整理される
- 主治医との話し合いが楽になる
- 次の選択を自分のペースで考えられる
という変化が起こることも少なくありません。
最後に
主治医の説明がつらかったとき、
それは「あなたが弱いから」ではありません。
それだけ大切な話を、
真剣に受け止めようとしている証拠です。
もし今、
- 誰にも本音を話せていない
- 立ち止まって考える時間がほしい
そう感じているなら、
一度、治療とは別の場所で話をしてみるのも一つの選択です。















