がんが再発したと聞いた瞬間、
胸の奥が凍りつくような感覚に襲われる方が多くいらっしゃいます。
「もう終わりなのではないか」
「治療はもう効かないのか」
「これからどう生きればいいのか」
外来でも、ご本人・ご家族からこうした声を何度も伺ってきました。
この記事では、がん再発が告げられた直後の心の揺れをどう整え、どう歩みを進めていけばよいのか を、緩和ケア医としての経験からお伝えします。
東京での相談先を探している方にも届くように、
必要な情報を過不足なくまとめました。
1. 再発の告知は、初回の診断よりもつらいことがある
多くの患者さんが、
「初めてがんと分かった時より、再発のほうがつらかった」
とおっしゃいます。
理由は次のとおりです。
「治療を頑張ってきたのに…」という挫折感
自分なりに回復のイメージを持っていたのが崩れる
予後に対する不安が一気に強まる
家族に迷惑をかけるのではという罪悪感
今後の生活や仕事の見通しが立たなくなる
まずお伝えしたいのは、
再発の衝撃が大きいのは当然であり、あなたの弱さではありません。
心が揺れるのは“正常な反応”です。
2. 「再発=終わり」ではありません
再発と聞くと、多くの方が
「もう治療がないのでは?」
と考え不安に陥ります。
しかし実際には、
◎ 再発後に長期間治療を継続される方も多い
◎ 新しい薬や治療法が年々登場している
◎ 痛みや副作用を緩和しながら生活することができる
◎ 再発後の人生を自分らしく過ごす人もたくさんいる
“再発=即座に終末期” ではありません。
正しい情報と支援があれば、
再発後の時間を豊かに生きられる方が多いのです。
3. 再発時に心が揺れる理由──緩和ケアが介入する重要ポイント
再発を告げられたとき、人が感じる心の揺れには一定の傾向があります。
● 強い不安
夜眠れない、食事が喉を通らないこともあります。
● 未来の喪失感
「もう旅行はできないのでは」「孫の成長を見られないのでは」と未来が曇る。
● 自責感
「もっと早く病院に行けばよかった」
「仕事を続けていたのが悪かったのか」
→ これは多くの患者さんが抱えますが、再発の責任はご本人にありません。
● 家族の前では取り繕ってしまう
遠慮のために、本音が言えず孤立することもあります。
4. 再発後の“心の整理”に役立つステップ
緩和ケアの外来で実際に行っているアプローチを紹介します。
① まず「いまの感情」を確認する
悲しみ、不安、怒り、混乱──
どれを感じてもいい。
緩和ケアは 感情を受け止める専門外来 でもあります。
② 治療の選択肢を“正しく”整理する
再発時はネット検索で余計に不安になる方が多いです。
緩和ケア医は、主治医と異なる視点から、
使える治療の種類
副作用への備え
治療しながらの生活の整え方
休むべきか、働けるのか
今すぐ決めなくていいこと、後から決められること
などを落ち着いて一緒に整理します。
③ 「いま困っていることを一つだけ」解決する
再発の衝撃で全てが重く見えます。
しかし、緩和ケアでは常にこう尋ねます。
「今日いちばん困っていることは何ですか?」
ここから整えていくと、
心が軽くなる方が非常に多いです。
④ 身体症状を整えることが、心を支える
痛み・不眠・吐き気などがあると、
心の整理がほぼ不可能になります。
痛みなどの症状がゼロでも、緩和ケアの早めの介入は効果的です。
⑤ 家族の揺れる気持ちもケアする
再発はご本人だけの問題ではありません。
ご家族もまた深く揺れています。
緩和ケアでは
ご家族の相談にも同時に応じる ことができます。
5. 再発時こそ「早期緩和ケア」が役に立つ理由
研究でも、
不安の軽減
抑うつの減少
生活の質の向上
意思決定の支援
過剰治療の回避
家族の負担軽減
が証明されています。
特に再発は、
情報量が多く、心配も大きいタイミング。
早期から緩和ケアに併行してかかることで、
治療の質も生活の質も大きく変わります。
6. 東京で「がん再発の相談」をしたい方へ
当院では、以下のようなご相談もお受けしています。
再発の告知後の気持ちの整理
今後の治療と生活の見通し
副作用や痛みの対処
家族への説明の仕方
セカンドオピニオン前の整理
がんサバイバーとしての生活の支援
オンライン相談にも対応
受診ハードルは高くありません。
どうぞ遠慮なくご相談ください。
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