闘病仲間や知人のがんの経過が思わしくなくて、不安が強くなったとき

同じ病気、同じ治療を受けている人の状態が悪いと聞いたり、
闘病ブログやSNSで厳しい経過を目にしたりして、
急に不安が強くなってしまう――
これは、がんの診断を受けた方にとてもよく起こることです。

「自分も同じ治療をしている」
「このまま同じ経過をたどるのではないか」

そう感じてしまうのは、決して弱さではありません。

なぜ、他の人の経過がこんなにも気になってしまうのか

がんと向き合っていると、
人は無意識のうちに 「自分の未来の手がかり」 を探します。

そのとき、いちばん身近で分かりやすい材料が

• 闘病仲間

• 知人・友人

• ブログやSNSの体験談

です。

特に
「同じ治療薬」「似た病名」
という共通点があると、
人はそれを強く結びつけて考えてしまいます。

しかし、「同じ治療＝同じ結果」ではありません

医療の現場にいる立場から、
とても大切なことをお伝えします。

同じ治療名であっても、その意味は人によって全く違います。

例えば――

• その治療が

  • 手術前なのか

  • 治療の途中なのか

  • 最終段階なのか

• 病気の進み具合

• 体力や合併症

• これまでに受けてきた治療

これらが違えば、
同じ薬・同じ治療でも「立ち位置」はまったく別物です。

「最後に使われた治療」と
「途中で使われている治療」では、
意味も目的も異なります。

情報を知るほど、不安が強くなることもある

真面目で、きちんと向き合おうとする方ほど、

• いろいろ調べる

• 他の人の体験を読む

• 先のことを想像する

という行動を取ります。

しかし、
情報が増えるほど不安が減るとは限りません。

特に、他人の経過を自分に重ねすぎると、
現実よりも厳しい未来を想像してしまうことがあります。

不安になったとき、ひとりで抱え込まなくていい

こうした不安は、
主治医に直接聞きづらいことも少なくありません。

• 「こんなことを聞いていいのだろうか」

• 「悲観的だと思われないか」

• 「他の患者さんの話を出していいのか」

そう感じて、
誰にも相談できずに苦しくなる方も多いのです。

でも本来、
その不安は整理されるべきものです。

緩和ケアは「症状が出てから」だけのものではありません

緩和ケアは、
痛みが出てから、状態が悪くなってから受ける医療
――ではありません。

• 不安が強い

• 先のことを考えるのがつらい

• 情報に振り回されてしまう

こうした段階からでも、
専門的に話を整理し、一緒に考えることができます。

「今の自分の状況はどうなのか」
「他の人と何が違うのか」

それを落ち着いて確認するだけで、
不安が和らぐことも少なくありません。

まとめ

他のがん患者さんの経過が思わしくないと聞いて、
不安になるのは自然な反応です。

ですが、

• 同じ治療名

• 同じ病名

だけで未来が決まるわけではありません。

不安が強くなったときは、
「自分の状況を正しく整理する」
そのための相談先があることを、
どうか思い出してください。

ひとりで抱え込む必要はありません。

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