早期緩和ケア大津秀一クリニックではがんや慢性病のつらい症状や痛み、不安を早期からの緩和ケア外来で末期に限らず専門医大津秀一が全国対応。遠隔相談可オンライン対応緩和ケア外来で東京文京区所在。病気の進み具合や種類を問わず早期受診できます。スマートフォン等を用いたビデオ通話で相談することもできます。内科専門医でもあり身体全般に詳しいです。緩和ケア・緩和医療といえば当院にご相談ください。【診療科:緩和ケア内科・疼痛緩和内科・がん内科・がん精神科】

緩和ケア外来併診は早い時期でメリット

がんの全病期と悩み・不安の緩和

緩和ケアが終末期と同義で使われている状況が続いています

有名な方が終末期になると

「緩和ケアの段階だ」

「緩和ケアを受ける時期だな」

「もう緩和ケアしかないでしょう」

などというコメントが並び、緩和ケア=終末期との一般社会への浸透の強さを感じます。

一方で、国はこの5年以上「早期からの緩和ケア」を謳っています

しかし実際には、残念ながら多数には浸透していません。

早期からの定期緩和ケア受診が、命の長さに影響するもしれないとされてもまだまだ知名度は高くないです。

 

緩和ケアという言葉の烙印

一度付いてしまったイメージを払拭するのは容易なことではありません。

モルヒネといえば、最後の薬、意識をもうろうとさせて苦痛を和らげる薬剤、命と引き換えに―(なお、これらは全て嘘情報です)。

緩和ケアといえば、末期―。

実際を表していないイメージはなかなか改善されません。

いっそ、違う言葉を使えばよいのではないか・・・?

良い言葉がないかは模索されてきました。

がんサポーティブケアという言葉が、一般的緩和ケア+がん治療の副作用緩和の意味で用いられることがあります。

しかしがんサポーティブケアに関しては、緩和ケアのような知名度は一般の方にはありません。

そしてあまり言葉も普及していないようです。

がんそのものに対する治療が難しくなった時、対症療法つまり症状に対する治療のベストをつくすことを、ベストサポーティブケア、略してBSCと呼び、しばしば医療現場では使われます。

一般には「緩和ケアの時期」と呼称されているものは、本当は「BSC」の時期であり、医療者にはそうビーエスシーと呼ばれているのですが、市井では緩和ケアという言葉はより末期の代名詞として通用してしまっている状況です。

それなので、緩和ケアが早期、と言われてもあまりピンと来ない側面があるかもしれません。

では早期から緩和ケアを受けるメリットは何でしょうか?

 

末期からの緩和ケアは遅い

がんの全病期を簡潔にまとめました。

がんの全病期と悩み・不安の緩和

想像に難くないですが、どの病期にも悩みや問題があります

緩和ケアは下の図のように、各病期に応じて患者さんの苦痛や不安を和らげる術を持っています

がんの全病期と悩み・不安の緩和

もちろん高度進行期や終末期になってからでも緩和ケアは必要です。

しかしなぜ、それよりも早い時期から必要なのでしょうか

 

緩和ケアは末期との刷り込みが潰えさせ得る未来

緩和ケアの誤解 開始時期

本当に緩和ケアが必要な時期を緑線

思われていて、しばしばその期間で実践されている緩和ケアを赤線で示しました。

 

がんの高度進行期や終末期となった際に重要なこととして、緩和ケアができる医療者が必ず関与していること、という事柄があります。

確かに、苦痛緩和をそれほど駆使しなくても、苦痛が強くなく最後まで過ごされる患者さんもいます

ただし、それはある種の「幸運とも言えます。

苦痛は個人差はあれども、出る可能性があるため、いかに苦痛が強くなっても相応の技術で苦痛緩和をしてくれる医療者が関わっていることは非常に重要なことです。

2つ目に、有事の際の対応が決定し、必要な医療機関に確約ができていること、も大切です。

ホスピス・緩和ケア病棟への調整は、特に時間がかかります。数ヶ月単位でかかることもあります

しかしがんの高度進行期や終末期の経過には、ある特徴が存在します。

がん終末期の経過

図は人生の終わり 「まだまだ」と「そろそろ」/アピタル より引用

がんは、他の病気と比べて、上の図のように最後が急峻であるという状況があります。

したがって、遅い時期になって準備をすると、それが間に合いにくくなります。

たとえ緩和ケアがその時期になって導入されても、後手後手になりがちです。

末期になってからの緩和ケアは遅い

症状を緩和することで手一杯であり、来るべき時間に向けての諸準備や、満足のいく療養場所をともに考えるというプロセスなどに関しては、時間が不足しがちです。

 

また、がんの患者さんに限らないですが、軽くない病気の方には、常に大量の怪しい治療に誘う情報にさらされている、というリスクがあります。

最低限、効く治療と併用、というのならば良いですが、しばしば効かないだろう治療に集中してしまう(それだけを行ってしまう)場合があります。

有名人でもこの数年亡くなった方の何人もそのような決断が、命の長さに影響した可能性があることは識者により指摘されています。

しかし一般の病院外来では、システム上、標準治療外の治療の相談を長時間することは難しいです。

標準治療で効果等が芳しくない場合に、容易に効かない治療群の情報に心を絡め取られてしまい、結果命を縮めるリスクがあります。それはデータとしても出ています。

がん治療での、代替医療への傾倒はやはり危険だった 

十分相談する場を、緩和ケアで提供することで、危険回避できて、結果命を守るということも考えられるでしょう。

 

ずっと緩和ケア医が一貫して緩和ケアの側面を担当することの利点

早期緩和ケアクリニック外来の緩和医療専門医(緩和ケア医)大津秀一が解説する早期緩和ケアと緩和ケアの違い

早期から緩和ケアをすることで、一般的な、病気が進行して苦痛が強い際に苦痛が緩和される、ということに留まらず、様々な利点があることをお伝えしました。

上の図のようにまとめましたが、もし高度進行期や終末期になったとしても、一般的な緩和ケアの技術を用いて、それより前に物理的に十分な(そして可能ならば心理的にも)準備ができるように支援します。

それによって、「苦痛が一貫して対処される」「入院場所等に困らない」などの安心の中で、時間を過ごすことができます

また危険を回避することにより、病期が進行しないようにすることにも寄与できるかもしれません

緩和ケア医が一貫して関わることで、価値観や思いなどをよく把握し、それにそくした方向性になるように支援することも可能となるでしょう。

ご家族との関係に難しさを抱える場合等も、援助できるでしょう。

このように、早期から緩和ケアを並行しておこなうことにより、苦痛緩和の枠を超える支援が可能となり、結果的にそれが生活の質の向上、可能ならば命を守ることまで目指してゆくことができるのが、利点だと言えるでしょう。

患っておられる方は様々な苦悩を抱え、それを周囲に包み隠さず吐露することが難しく、気持ちのつらさを抱えていることもあると思います。

忌憚なく話を聴いてもらえる、という利点も無視し得ないものとして存在しており、緩和ケア外来のメリットは多々あるのです。

なお、進行がんと診断された時から緩和ケアをしたほうが、診断後3ヶ月経って緩和ケアを始めた群よりも、(たった3ヶ月の違いなのに!)1年生存率が有意に高かったという論文を紹介した下記のページもよかったらご参照ください。

診断時からの早期緩和ケア定期受診で1年生存率が向上する【遠隔相談で】

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