早期緩和ケア大津秀一クリニックではがんや慢性病のつらい症状や痛み、不安を早期からの緩和ケア外来で末期に限らず専門医大津秀一が全国対応。遠隔相談可オンライン対応緩和ケア外来で東京文京区所在。病気の進み具合や種類を問わず早期受診できます。スマートフォン等を用いたビデオ通話で相談することもできます。内科専門医でもあり身体全般に詳しいです。緩和ケア・緩和医療といえば当院にご相談ください。【診療科:緩和ケア内科・疼痛緩和内科・がん内科・がん精神科】

終末期医療・終末期ケア

終末期医療・終末期ケア 最大の問題点とは

早期緩和ケアクリニック外来の緩和医療専門医(緩和ケア医)大津秀一が解説する終末期医療・終末期ケア 最大の問題点と緩和ケア

終末期医療 最大の問題点とは何か?

すでに日本は多死社会になっています。

これからその傾向はますます強まります。

否が応でも、一般の方でも、この現実と直面しなければならないでしょう。

さて、いつかは誰もが迎える終末期。

最大の問題点とは何でしょうか?

 

それは、意思の問題

もちろん終末期医療や終末期ケアの問題は、一言ではいえないくらい様々なものがあります。

しかし、その中でもとりわけ大きな問題はあります。

一般に「終末期」というのは、期限は一概に言えないことが知られています。

ただそれが、進行性で有効な治療がない状態というのは、ある程度のコンセンサスが得られているでしょう。

その終末期に、何が起こるのか?

それは、意思表示の困難さです。

 

意思表示が困難になるのは認知症だけではない

終末期の認知症で、意思表示が困難になることは、ご存知の方も多いと思います。

ただ認知症ではなくても、例えば老衰の終末期になれば、高度の衰弱から意思表示が困難になることは普通にあります。

また、がんの場合はどうでしょうか?

確かに、がんは認知症や老衰と比べれば、比較的元気な状態がぎりぎりまで保たれることが知られています。

けれども、最後の数週間となると、せん妄も相応の頻度で生じてきます。

せん妄も意思疎通が難しくなる病態です。

 

がんの場合に問題になる鎮静

がんの場合は、最終末期にせん妄等から身の置き所のない様態が顕著になり、鎮静が必要となることを想定しなければいけないことはこれまで何度か伝えてきています。

がんの症状緩和の鎮静について

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問題は、そもそも鎮静の判断をしなければいけないような時期は、せん妄(意識障害)となっていることも多いため、「本人が」鎮静に清明な意識で諾とできることが多くない、ということです。

すなわち、苦痛からは解放される一方で、もうコミュニケーションが困難になるかもしれない、その重大な決断がしばしば自分で最終的に承諾できないところに、大きな問題が存在しているのです。

 

認知症や老衰の場合に問題になる胃ろうや中心静脈栄養

認知症や老衰の場合は、がんよりももっと早い段階から、食事の摂取が困難になります。

それなので、そのような際に人工栄養を行うかどうかが必ず問題になります。

人工栄養で知られているのは、胃ろうや中心静脈栄養です。

問題は、これらが想定される段階では、ご本人は認知症の高度進行や衰弱等から、それらの意義や回復可能性を「しっかりと理解して」「ご本人が」決断できるとは限らない点です。

結局、家族が代諾者として決断することも多いです。

これも究極的に、ご本人の正しい意思なのかはわかりません。

 

まとめ

終末期医療・ケアにおける問題点は、ご本人の意思で物事が決断されることが必ずしも多くない、ということです。

これは見方によっては、最大の問題とも言えると思います。

一方で、これらのことをしっかりと細かく家族等と話し合い、書面にも残している人はけっして多くありません。

このような問題があり、しかも誰もが当事者として直面しうるのだということが、もっと知られてほしいと思います。

そして早期から緩和ケアを受けることを通して相談機会が増え、このような意思をご本人が周囲に早い段階から明確に表示することにつながるのです。

 

 

 

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