早期緩和ケア大津秀一クリニックではがんや慢性病のつらい症状や痛み、不安を早期からの緩和ケア外来で末期に限らず専門医大津秀一が全国対応。遠隔相談可オンライン対応緩和ケア外来で東京文京区所在。病気の進み具合や種類を問わず早期受診できます。スマートフォン等を用いたビデオ通話で相談することもできます。内科専門医でもあり身体全般に詳しいです。緩和ケア・緩和医療といえば当院にご相談ください。【診療科:緩和ケア内科・疼痛緩和内科・がん内科・がん精神科】

緩和ケア・緩和医療

がんと温泉・温泉療法 症状緩和ケア

早期緩和ケアクリニック外来の緩和医療専門医(緩和ケア医)大津秀一が解説する温泉と緩和ケア

がんと温泉の効果について主として症状緩和の点から解説します。

温泉と緩和ケア

普通に考えて、温泉は緩和ケア的に良さそうですね。

もちろん、がんが消えるなどを期待するのは難しいでしょう。

そしてそのような「攻め」というよりは、むしろ心身の滋養に役立つのではないかと考えます。

その点では「守り」の医療たる緩和ケアに近いと考えますね。

 

温泉療法と緩和ケアのエビデンス

2018年に「温泉と緩和ケア」の論文が出ています。

なんでも論文はあるものですね。

Effect of a spa bath on patient symptoms in an acute palliative care setting: A pilot study.

パイロットスタディー(研究の初期段階に、少数の被験者を対象とした予備的な研究)とのことで、まだまだこれからという内容ではありますが、痛みや不安が改善したとのこと。

まあ、そうだろうな、と思いますが、緩和ケアの名前が付けられているのが特徴です。

 

他にも乳がんの患者さんで温泉療法を組み込んだ3週間の入院リハビリプログラムで、「クオリティ・オブ・ライフと気分が大幅に改善した(気分的な改善は短い時間で成された)」及び「疲労などの身体的な苦痛だけでなく、腫瘍マーカーCA15-3まで、追跡調査で統計的に意味のある程度に低下した」という結果が得られたものがあります。

Combined inpatient rehabilitation and spa therapy for breast cancer patients: effects on quality of life and CA 15-3.

ただ総合的なプログラムなので、温泉療法だけではないようですね。

リンパドレナージ、マッサージ、心理カウンセリング、リラクゼーショントレーニング、運動療法のほか、二酸化炭素バス、および泥パックが為されたそうです。

気持ちは良くなりますよね、これならば。私も受けたいくらい。

 

ランダム化比較試験もあります

同じく乳がんでのランダム化比較試験で、無作為化された181人の患者さんが、92人の介入(温泉療法実施)群と89人の対照群に割り振られました。フランスの研究です。

結果としては、温泉療法実施群の職業再開率が高く(p = 0.0025)、12ヵ月後の仕事を遂行する力と、プライベートでの活動を行う力に対して良い影響があり、しかも費用対効果に優れていました。

Positive and cost-effectiveness effect of spa therapy on the resumption of occupational and non-occupational activities in women in breast cancer remission: A French multicentre randomised controlled trial

なおこの研究では両群に栄養療法が施されています。

 

気分的な問題は無視しえない

病気を治すのは治療だけではありません。

第一、心身の脆弱性が顕著ならば、治療も遂行・継続困難です。

治療に耐えられる心身があるからこそ、治療を受けられて病気が治るのです。

それなので、病気の治療ばかり考えているのは、車の片輪だけを回しているようなものです。

守りの医療を行って、両輪を回すので前に進めるのです。

その点で、早期からの緩和ケアで話を聞いてもらったり、不安に対処してもらう、生活や気持ちの助言をもらう、というのは、しばしば軽視されがちなのですが、実は治療継続や、ひいては疾病の寛解や根治、長期生存に重要な意味を持つのではないかと考えられます。

 

急がば回れ

病気になると外出がおっくうになります。

もちろん身体の調子が悪いので外出を考えられない、ということがあるでしょう。

しかし、そうやって家での生活が増えると、概して気持ちにも良い影響を与えないものです。

病気のことばかり意識してしまい、気持ちがうつうつとし、悪いことばかり考えて、滅入ってしまうことがあるでしょう。

考えるより、行動。

多少大変でも、頭脳労働よりも身体を動かす。

これを重い病気と付き合う一つの工夫とされている方もたくさんいらっしゃいます。

 

数年前のこと。ある患者さんから相談を受けました。

「私は温泉が趣味で」

大津「それでは行ってみたら?」

「でも先生、私は乳がんで」

確かに、皮膚に浸潤している進行乳がんだとなかなか温泉には行きづらいかもしれません。

「確かに・・・」

その時、一緒に働いている看護師が教えてくれました(持つべきものは良いスタッフです)。

「先生、ピンクリボンのお宿があるじゃないですか」

皆さん、ピンクリボンのお宿、ご存じですか?

ピンクリボンのお宿ネットワーク

”「ピンクリボンのお宿ネットワーク」は、乳ガンを患い、手術を受けて回復の道を歩みながらも、術後を気にして旅をあきらめてしまうという女性の方たちに、もう一度、誰の目も気にせず旅に出かけてもらい、心ゆくまで旅館・ホテルでの入浴などを楽しんでいただきたいという目的で2012年7月に設立されました”

ネット上に各温泉施設紹介ページがあります。

ピンクリボン温泉ネットワーク

”ピンクリボン温泉ネットワークとはJ.POSH温泉パートナーへの参加を通じ、乳がん患者さんが専用入浴着(市販品または市販品と同様の素材で作られたもの)を着用しての大浴場の利用可能に積極的な施設(温泉地・温泉旅館)の全国ネットワークです”

もちろん乳がんでなくても、がんの患者さんの受け入れに熱心な宿泊施設ですから、いろいろと考慮してくれるかもしれません。

ぜひ温泉へ。

あるいは皆さんの周囲にそのような方がいらっしゃったらぜひ教えてあげてください。

 

まとめ

素晴らしい泉質の温泉がどんどん潰れていっています。

秘湯の一軒宿「日帰り温泉に勝てず」相次ぎ閉館

私も小経営者になって感じますが、本当に巨大資本にはかないません。

温泉も医療も集約化が進んでいます。

ただ「そこでしかないもの」が失われていってしまうかもしれません。

「ピンクリボンのお宿ネットワーク」もどちらかと言えば(ざっと拝見しましたが)、経営の体力がありそうな旅館が中心のようです。

本当のかけ流しの良質な温泉がなくならないように、良い温泉で、がんなどの療養に理解がある温泉は、ぜひとも応援していきたいものですね。

 

 

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