患者の早期緩和ケア外来受診で家族の満足度アップという研究を紹介
患者の早期緩和ケア外来受診で家族の満足度アップという研究を他の記事で紹介しています。
これは興味深い研究で、ご家族が同席しなくても、患者さんが早期から緩和ケア外来に通うことでご家族の満足度が向上するという内容でした。
一方で満足度以外に差が出ず、それは介護者があまり外来に来なかったことや、参加者(介護者)の数が少なかったため統計的に意味のある差を検出できなかったことと関連しているのではないかと同論文では示唆されていました。
今回はまた早期緩和ケアの家族に与える影響を調べた別の研究の紹介です。
「家族には負担をかけたくない」「家族の迷惑になりたくない」と考えている皆さん、必見です。
肺がんと消化管のがんの根治不能例が対象
今回紹介する研究は下記です。
対象者は前に紹介した研究より多いです。
新たに診断された肺がんと(なぜか大腸がん以外の)消化管がんが対象となっています。
受診はクリニックです。
最低月1回の来訪となっています。
前回の研究と同様に、なんと家族の同席は必須ではありません。
診断時から緩和ケアにかかった患者さんのご家族の精神的苦痛や、うつ、不安などの推移が調べられました。
早期緩和ケア群と、通常腫瘍ケア群のランダム化比較試験です。
結果はどうだったでしょうか?
今回の研究では精神的苦痛が減り、抑うつも軽減
今回の研究では、統計的に意味のある差が複数の観察項目で確認されました。
12週の時点で、不安は差がありませんでしたが、精神的苦痛と抑うつは改善を示しました。
24週では統計的に意味のある差はありませんでした。
一方で患者さんが亡くなる3~6ヵ月前には、不安とうつの双方とも改善を示しました。
がん治療の早期からの緩和ケア併用のメリットを示していると論文著者は述べています。
患者さんのケアがご家族のケアにつながる
ご家族を支えることは、患者さんを支えることにつながります。
一方で、前回紹介した研究
と並び、患者さんの不安や苦痛を軽減することは、ご家族の精神的なつらさを改善し、満足につながることが示唆されます。
すなわち、患者さんを支えることが、ご家族を支えることにもつながります。
緩和ケアは従来より、患者さんとそのご家族(およびそれに準じる存在)をその対象としています。
一方へのケアでも全体に良い影響を与えていることを証明した知見であると考えられます。
「早くからの緩和ケア受診はみんなのため」とも言えるかもしれませんね。