東京の緩和ケアの病院 クリニックの口コミ
上記のようなインターネット検索を行って、当クリニックのホームページにたどり着いている方もおられるようです。
今日は東京の緩和ケアの病院 クリニックの口コミに関して皆さんにお伝えします。
緩和ケアの口コミの難しさ
緩和ケアの口コミには難しさがあります。
それは緩和ケアは特に、提供する医療者そのものが、満足・不満足という結果に関連しうる側面があるからです。
以前も他の記事で例示しました。
緩和ケアは患者さんやご家族の「苦痛」を扱います。
「苦痛」は客観的なデータでは計測できないところに難しさがあります。
例えば、苦痛緩和の腕はそれほどなくても、とても親切で、よく話を聴き、患者さんやご家族からの信頼は絶大という医師がいたとします。
一方で、苦痛緩和の技術はものすごいけれども、冷たく、無愛想で、あまり話を聴かず、何かにつけ断定的な言い方ばかりする医師がいたとします。
前者の医師の緩和薬の選択は今一つで、後者の医師の緩和薬の選択はいつも適切です。
では、患者さんの苦痛は、どちらが取れるでしょうか?
医療においては、プラセボ効果も発生しえます。
これが、「肝炎の治療」という客観的な領域ならば、知識・技術・経験がある医師の方が、治療成績は良くなるでしょう。
では、先ほどの緩和ケアの場合はいかがでしょうか?
はっきり言って、前者の医師のほうが「苦痛は取れる」と評判になってもおかしくないでしょう。
主観を扱う領域なので、緩和ケアがうまくいっているかどうかは、緩和ケア担当者の人数や部門の体制が整っているか等だけでは測り難いです。
緩和ケアの質の評価ということもたびたび取り沙汰されますが、他の客観的な指標がある分野に比べると、評価は難しいのです。
手術の成功やその確率という客観的な指標がある分野ではなく、基本的には患者さんやご家族の求めるものに合致した要素を提供できる医師や医療者が口コミでは評価されることになるでしょう。
例えば、患者さんが痛みで苦しまれておられて、人柄よりも速やかな苦痛緩和を! と願われた時に、先の例の後者のような「苦痛緩和の技術はものすごいけれども、冷たく、無愛想で、あまり話を聴かず、何かにつけ断定的な言い方ばかりする医師」のほうが、口コミの評価は高くなるかもしれません。
一方で、これまで医療者との関係に悩んでおられて、とにかく温かく接してほしいと切望されている時には、先の例の前者のような「苦痛緩和の腕はそれほどなくても、とても親切で、よく話を聴き、患者さんやご家族からの信頼は絶大という医師」を口コミでは名医と評価するかもしれません。
したがって、緩和ケアに関するある口コミを聞いた場合は、「何についての評価なのか」をしっかり追加で聴いたり読み取ったりすることが大切でしょう。
誰が聞いてもわかる手術後の生存率等と比べて、その点では緩和ケアの口コミを尋ねる際に、注意すべき点だと考えます。
もう1つ注意すべき読み方
さらに付け加えると、一般に、患者さんやご家族からの口コミでは、親身になってくれる対応や好ましい人柄、姿勢が、医療者からの口コミだと技術的あるいは学問的な評価が、それぞれ存在すると高評価になっている印象があります。
それなので、どちらも正しく一面を示していますが、全部ではない、ということは言えましょう。
またその点では、医療者間の評価も、全てではない、ということは言えるでしょう。
どのように患者さんやご家族に接しているかは、一緒に働いている医療者のことしかわかりませんので、他施設の医療者に関して患者さんやご家族のような当事者目線での評価は難しいのです。
一方で、患者さんやご家族の視点でも、先述したような、価値観と合った医療者なのかどうか、という点からの評価であるという課題が常に存在します。
相性、と呼ばれる要素もありますね。
緩和ケアに関する口コミには、限界がありそうです。
東京に限らず緩和ケアの病院・クリニックの口コミをどうするか?
緩和ケア病棟に関していうと、病院の中でも独特のポジションを構築していることがままあります。
したがって、病院全体の口コミが良くなくても、緩和ケア病棟やホスピスに関しては例外であることも多くありますので、病院全体の口コミや評価で判断を決めるのは止めたほうが良いでしょう。
また本記事を書くにあたり、ざっと東京の緩和ケアの病院やクリニックに関する口コミを調べてみましたが、分野が分野なだけに、あまり目立ったものは見つかりませんでした。
ただしかし、本当にためになる口コミはしばしば出回っていないこともありますので、基本は
◎かかっている病院の医療者に複数尋ねてみること
◎実際にかかってみる、見学してみるなどコンタクトを取ってみること
などが考えられるでしょう。
また大切なこととして、緩和ケアの病院やホスピス、在宅医を紹介してもらう段になった際には、自分が医療者に求めるものを優先順位を付けて、どうしても譲れないものを言葉で明示することが大切でしょう。
例えば、「これまで冷たい医療者の対応がきつかったので、態度が温かい医師を紹介してもらいたい」、あるいは「苦痛緩和の技術を持った在宅医が良い」「鎮静を必要時にしてくれる医師がいる機関に紹介してもらえれば」等です。
東京などの都市圏の良いところは、選択肢自体はある、ということです。
地域によっては、緩和ケアの提供元の選択肢が極めて少ないところもあります。
そのような場所だと、自身の望みにあった医療者を見つけるのはより運の要素が強くなります。
一方で、都市圏の場合だと、病院はいくつもの緩和ケア病院やホスピス、在宅医の連携機関を擁しているため、はっきりとした希望の明示があれば、合った医療機関をより紹介しやすくなるのです。
まとめ
緩和ケア関連の口コミは数も少ないですし、本文で述べたように、主観的な要素が強い緩和ケアにおいてはあくまで一意見ということもあり、受け手が違えば評価も変わりえます。
口コミも大事ですが、まずは自身にとって大切な要素を考えて、それを提供してくれる医療者を要請することです。
一例ですが、昔私がホスピスに勤務していた頃は、ホスピスに年季が入っていた(言い方次第では、ボロかった)ので、きれいな新しいホスピスを所望される方は全員(?)もう1つのホスピスを希望して行かれました(当時は2つしか府内になかったので、多くの方が両方に予約をして来られていました)。
ただきれいな新しいホスピスよりも、「人」を求めて来られた方は、半々で決められていました。
患者さんやご家族ごとに価値観は異なります。
ご自身のニーズに合った施設を選び取るために、しっかり希望を明示し、動くこと。
口コミで一喜一憂や即断せずにそうするのが良いと考えます。