緩和ケア医・大橋洋平先生の新刊『がんになった緩和ケア医が、本気でホスピスを考えてみた』を購入し、拝読しました。
ご存じの方も多いと思いますが、先生は2018年、緩和ケア医として最前線で働かれていた最中に消化管間質腫瘍(GIST)を発症されました。
体重が40kgも落ちるほどの壮絶な闘病を経て、現在も治療を受けながら診療を続けておられます。
先生が緩和ケアを学ばれた淀川キリスト教病院での研修が2003年。私は2005年に緩和ケア医として歩み始めましたので、緩和ケアが今ほど一般的ではなかった時代に、それでも志をもって進もうとしていた「同志」であり、同時に、先輩のような存在でもあります。
その先生が今回の本を「恐らく人生で最後の作品です」と記されていたのが胸に迫り、まだまだ次の作品も出るはずだと思いながら、ページを開きました。
結論。素晴らしい。医師としての実践と、患者としての体験が深く融合した大橋洋平という一人の人間の集大成がここにはあります。
がんに向き合っている方はもちろん、ご家族・友人・支える側、そして医療者にも強くおすすめできる内容です。
がんが進行したときに、何をどう選択するのか。その判断材料となる視点が丁寧に詰まっており、まさに「実用書」でありながら、深い“人間の書”でもあります。ネタばらしを避けつつ、心に残った点をいくつか挙げます。
● 奥様との温かな関係
ところどころに滲む奥様への温かな感謝の言葉が、読む側の心をほぐしてくれます。
● ユーモア
ご病気の大変さを知っているだけに、このユーモアには救われる方も多いはずです。
● 医師と患者、双方の視点の切れ味
「実はコンパクトな個室のほうが良い」
これは鋭い指摘です。私も深く共感しました。理由は本書でぜひ。
● 面会の不思議
病棟によっては、ペットの面会は許可されるのに、人間の面会は厳しい。医療現場で日々向き合う者として「確かに」とうなずきました。
● 富良野での悲しい事例
なお、このような現実があることに胸が痛みます。
● お父様を看取られた場面
お父様の言葉、そこから先生が受け取られた気づきは、本書の白眉です。読む人の胸にも深く残るでしょう。
また、特に強く残った三つの言葉を紹介します(引用ページは書籍より)。
● 「自分で決めて選べること」の嬉しさ・大切さ(78ページ)
昔、近くのスーパーに“自分で”行くことを一番の願いとしていた患者さんのことを思い出しました。
その意味は、本書を読むとわかります。
● 「カギとなるのは言葉そのものではなく、医療者が信頼できるかどうか」(86ページ)
この一文は、臨床に携わるすべての医療者にとっての原点だと思います。
● 「がんと診断される前から、緩和ケアは必要や!」(109ページ)
早期からの緩和ケアを大切にしてきた自分にとって、深くうなずく言葉でした。
多くの方に“気づき”と“支え”をもたらす本だと思います。
がんに向き合う方、そのご家族、そして医療者にとって、必ず役立つ示唆があります。
ぜひ手に取っていただきたいと思います。
そして大橋先生が引き続き良い経過であることを願うと同時に、また次の本を、プレッシャーなくお待ちしております。









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