早期からの緩和ケア外来定期受診
海外では早期からの緩和ケアに関して、様々な研究論文が出ています。
その中から今回紹介するのは、患者さんが定期的に緩和ケアクリニックの外来を受診すると、そのご家族にどんな良い影響があるかを調査したものです。
例によって、早期緩和ケア併用群と、標準治療群に振り分けられていますが、標準治療群は緩和ケアにかかることはできるのです。
患者さんが必要だと思ったときにです。
早期緩和ケア併用群は、患者さんのかかりたいという気持ちとは関係なく、定期受診しています。
IV期のがん(乳がんおよび前立腺がんの患者さんはホルモン抵抗性)、あるいは予後不良のIII期の進行がんの患者さんが対象です。
がん種は肺、消化器、泌尿器、乳腺、婦人科がんなど、多岐にわたりました。
早期からの緩和ケアの介入頻度は毎月。
内容は外来緩和ケアクリニックで、緩和ケアの医師等の相談や毎月のフォローアップで、症状管理、ケアの目標の評価、事前ケア計画、そして社会的、感情的、そして精神的なサポートでした。
介護者には、社会的支援、感情的側面へのケア、そして患者のケアを支援するための医療資源の提供でした。
特筆すべき点として、介護者への調査であるにもかかわらず、外来の介護者の同席はなんと必須ではありませんでした。
早期からの緩和ケア定期受診で家族の満足度がupする
介護者の同席が必須でないので、効果は薄められるのではないかと予想はされます。
もっとも、早期緩和ケア群では介護者の85%に支援が提供されたとは記載されています。
介護者の生活の質指数や、SF-36という健康状態の指標は、早期緩和ケア群でも必要に応じて受診群でも統計的な意味のある差はありませんでした。
しかし、介護者の満足度の指標である FAMCARE Scaleは3ヶ月と4ヶ月において、早期緩和ケア群のほうが改善しました。
なおこれも面白いのですが、介護者の外来受診の回数とは、満足度が(統計的に有意な)関連性はなかったのです。
回数が少なくても満足度が高い場合もあるし、その逆もあるということですね。
満足度以外に差が出なかったことは、介護者があまり外来に来なかったことや、参加者(介護者)の数が少なかったため統計的に意味のある差を検出できなかったことと関連しているのではないかと示唆されています。
まとめ
患者への早期緩和ケア介入で、家族等の介護者へどう好影響があるのか調べた研究です。
惜しむらくは同席が非必須で、家族との面談回数(中央値2回)が患者への面談回数(中央値4回)より少なかったことであり、それが結果へ影響した可能性が論文著者によって示唆されています。
もっとも、それだけ少ない面談回数でも、満足度が改善したことは特筆すべきことだと言えましょう。
家族のためにも早期緩和ケア定期受診は、たとえ面談に参加できなくても、一定の効果は見込めるかもしれない、と控えめに言えるかもしれません。