早期緩和ケア大津秀一クリニックではがんや慢性病のつらい症状や痛み、不安を早期からの緩和ケア外来で末期に限らず専門医大津秀一が全国対応。遠隔相談可オンライン対応緩和ケア外来で東京文京区所在。病気の進み具合や種類を問わず早期受診できます。スマートフォン等を用いたビデオ通話で相談することもできます。内科専門医でもあり身体全般に詳しいです。緩和ケア・緩和医療といえば当院にご相談ください。【診療科:緩和ケア内科・疼痛緩和内科・がん内科・がん精神科】

緩和ケアチーム

緩和ケアチームががん患者へ早期介入しても少ない回数だと効果が弱い

早期緩和ケアクリニック外来の緩和医療専門医(緩和ケア医)大津秀一が解説する早期緩和ケアチームでも回数が少ないと効果が弱いという研究

緩和ケアチームの早期からの介入についてのデンマークの研究での結果です。結論から言うと、緩和ケアチームが関わる回数が少ないとさすがに効果も弱い、ということ。説明していきます。

早期緩和ケアはたくさん研究されている

早期緩和ケアは、いろいろと研究されていることは紹介してきている通りです。

早期からの緩和ケア外来が目指すもの 余命の延長・予後の改善

と示され、

診断時からの早期緩和ケア定期受診で1年生存率が向上する【遠隔相談で】

月1回早期緩和ケア外来定期受診 患者の生活の質と満足向上

他にも

早期からの緩和ケア定期受診研究1 家族の満足度がupする

早期からの緩和ケア定期受診研究2 家族の精神的苦痛が減りうつも改善

と、家族への効果も示されています。

ただ、ここが重要なのですが、科学的な事柄はしっかりと検証されます

そのため、ある研究では効果ありと出ても、ある研究では効果なしと出ることもあるのですね。

今日は、早期からの緩和ケアを行っても、統計的に意味のある差での改善が認められなかった研究の紹介です。

 

デンマークの早期緩和ケア研究

研究はデンマークで行われています。

Randomised clinical trial of early specialist palliative care plus standard care versus standard care alone in patients with advanced cancer: The Danish Palliative Care Trial.

297人を、早期緩和ケア群と通常の腫瘍治療群に割り振っています。

主評価項目は、生活の質のスケール(EORTC QLQ-C30)の変化ですね。

生存期間中央値等ではありません。

これまで紹介したアメリカやカナダの研究では、早期緩和ケアがクリニックで行われていることが多いようです。

しかしこのデンマークの研究では、病院の緩和ケアチームです。

研究のプロトコールはこちら(英語)

研究概要(英語)

ただこの研究、興味深いのですが、さらっと書いてあるように「each patient will have at least two contacts to the SPC(Specialised palliative care) in the trial period.」なのです。

私はどんだけ~(古い)と思いました。

要するに、緩和ケア群は、少なくとも「2回」緩和ケアの専門家にかかるだけなのですよ。

2回は少なすぎやしませんか?

あと期間も8週間と他の研究より短いですね。

それで生活の質が向上すると思って研究を組んだのでしょうから、デンマークの緩和ケアの担当者はすごく自信があるのですね。

それでどうなったか……?

 

やっぱり早期緩和ケア群でも有意差が出なかった

まあ、そうだろうな、と思いますね。

8週間の介入では、統計的な有意差を得ることができませんでした。

それでもQLQ-C30(少ないほど良い)が-4.9ポイント【95% confidence interval -11.3 to +1.5 points ; p = 0.14】ですから、多少は効果が出ているような印象も。

あと、この研究はStageⅣ限定(ただし中枢神経の腫瘍は別基準)だったということもあるかもしれませんね。

いくら早期緩和ケア併用が効果があると言っても、8週で最低2回だけでは少し厳しいような。

論文としての結論は、「We did not observe beneficial or harmful effects of early specialist palliative care, but important beneficial effects cannot be excluded.」の通りで、良いとも悪いともこの結果からは言えませんが、良い効果はこれでは否定できないですよね。

ただ8週で改善させて結果を出す、としたデンマークの早期緩和ケア担当者(研究者)の自信と勇気には脱帽です。

 

 

 

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