早期緩和ケア大津秀一クリニックではがんや慢性病のつらい症状や痛み、不安を早期からの緩和ケア外来で末期に限らず専門医大津秀一が全国対応。遠隔相談可オンライン対応緩和ケア外来で東京文京区所在。病気の進み具合や種類を問わず早期受診できます。スマートフォン等を用いたビデオ通話で相談することもできます。内科専門医でもあり身体全般に詳しいです。緩和ケア・緩和医療といえば当院にご相談ください。【診療科:緩和ケア内科・疼痛緩和内科・がん内科・がん精神科】

早期からの緩和ケア外来

緩和ケアはいつから?

緩和ケアはいつからかかるのか? ベストのタイミングを緩和ケアの専門医が解説します

緩和ケアは末期になってからするものではありません。じゃいつから?

緩和ケアはいつからかかれば良いのですか?

と尋ねられることがあります。

答えは一つです。

「今すぐかかりましょう」

どうしてなのか、説明します。

 

緩和ケアのことが脳裏をよぎる時は、たいてい遅め

緩和ケアはいまだに末期になってからかかるというイメージがあります。

しかし、そうではないことはこれまでもブログで何度も触れて来ています。

早期から受ける早期緩和ケアは、いろいろなメリットが指摘されています。

早期からの緩和ケア外来が目指すもの 余命の延長・予後の改善

余命への影響も示唆され、

診断時からの早期緩和ケア定期受診で1年生存率が向上する【遠隔相談で】

月1回早期緩和ケア外来定期受診 患者の生活の質と満足向上

生存率や生活の質への影響は言うに及ばず、

早期からの緩和ケア定期受診研究1 家族の満足度がupする

早期からの緩和ケア定期受診研究2 家族の精神的苦痛が減りうつも改善

緩和ケアを受ける本人の家族へも好影響が及ぶことが示されています。

注目すべきは、多くの研究が、「緩和ケアにかかりたい時にいつでもかかれる群」vs「緩和ケアに定期的に必要性を感じていなくてもかかる群」で比較していることです。

「かかりたい時に早めにかかる」のが、早期だと感じますよね?

しかし実際は、「緩和ケアにかかりたい時にいつでもかかれる群」vs「緩和ケアに定期的に必要性を感じていなくてもかかる群」で比較して、生存や生活の質へ良い影響があったのは、後者なのです。

参考;早期からの緩和ケア外来が目指すもの 余命の延長・予後の改善

参考;Systematic versus on-demand early palliative care: results from a multicentre, randomised clinical trial.(英語)

このように言えるかもしれません。

すると、「今が緩和ケアのタイミングだ」と思ってかかっては、遅いということです。

すなわち、緩和ケアのタイミングだと多くの患者さんやご家族が感じている時は、そもそも遅い可能性があるのです。

 

なぜ早くから緩和ケアが必要なのか

現行の保険診療には代えがたいメリットがあります。

それは「安いこと」です。これに尽きます。

一方で、それは一面では薄利多売を必要とするため、一人一人の患者さんにかけられる時間は限られていますし、待ち時間も長いのが一般的です。

良い点と悪い点は表裏一体です。

実際にがんを患っておられる方は、それではどのようなことに悩んでいるのでしょうか?

参考;がん体験者の悩みや負担のうち最も多いのは不安

その結果が、下記の図です。

がんの患者さんの悩みや負担

がんの患者さんの悩みや負担<がんの社会学に関する研究グループ2013年>

見て頂ければわかるように、「不安などの心の問題」が悩みの第1位を占めています。

診察時間等が短いことは、このような問題や、治療に関する諸問題や疑問を、診察だけで解決することが難しいことを示唆します。

人はそれぞれの生活があります。

実際に上の統計でも、「就労や経済的負担」「家族や周囲との人間関係」「生き方や生きがい」の問題が挙げられています。

これらの治療と直接的に関係しないように見える問題は、しばしば担当医療者は(時間の制約等から)ケアが及びにくい状況にあります。

それなので、問題をよく聴いたり、それぞれを解決しうる専門家につないだりすることが重要だったりするのですが、その機会が十分とは言い難いのです。

そのため、緩和ケア医などの緩和ケアの担当者が、補完的に関わることで、これらの生活の質に影響する諸問題を早期解決あるいは深刻化させないうちに改善することにつながります

①都市部のよほど人的資源が充実している病院で、②積極的に動く、という条件が揃わない限り、治療以外の(時には治療に関する)問題に十分対応してもらうということはしばしば難しいものです。

早期緩和ケア外来にかかったり、緩和ケアチームに早期から関与してもらうことは、現行の制度ではカバーしきれない部分を何とかすることにつながるのです。

 

緩和ケア外来は併診が一般的

患者さんやご家族の中には、他の医療者にかかるのは不義理ではないかとお考えになり、それが早期からの緩和ケアを妨げる要因になっていることがあります。

けれども、力量ある主担当医は緩和ケアが必要なことを知っているものです。

実際、私も大学病院勤務時に、全ての患者さんを主担当医と併診で拝見していましたが、担当医からも好評価を頂戴していました。特に力量ある医師は、緩和ケア担当者の使いこなし方も優れているものです。

保険診療の制約上からの時間の限界で、主担当医も細やかに対応したいと思っていても、それが叶わないことはしばしばあるものです。

その、なかなか手が及ばないところを緩和ケア担当が補完することに期待してくれていたのでした。

緩和ケアと併診することは不義理ではないので、ご心配はありません。

ただし、緩和ケアの大きな普及は最近の話ですから、まだ一部の医療者の間にも緩和ケア=末期という認識があって、「そんなのにかかる必要がない」等と言われる可能性があるのは2019年現在まだ存在することなので、それはおりこんで見ておくのが良いとは言えましょう。

 

まとめ

根治あるいは長生きのためには、効く治療をできる範囲で行うことが大切になります。

その治療はしばしば負担を伴うため、副作用対策や心身のケアが不十分だと、継続することが難しくなります。

そのため、見通しに影響することがないとは言えません。

早期から緩和ケア外来等に受診することによって、問題に対する十分な改善が期待され、それが良い経過につながりえます。

諸研究からも、基本的には「がんで転移があるケース」は、100%「今すぐに」かかるのが最適と考えられます(※注;緩和ケア外来はどこも予約制なので、今すぐにというのは救急外来に、ということではなく、すぐに予約を取ってという意味です。大丈夫だとは思いますが、念のため)。

進行がん全体で効果をみている研究もあり、転移がない進行がんでも受診する意義はあると考えます。

以上より、緩和ケアはいつからか? という問いの答えは、「転移があれば直ちに」「転移がない進行がんの場合も早いうちに相談してみては」となります。

なお、早期がんや治るがんでも対応する外来も少数ながらあります(当院もそうです)。病気への付き合いは数年以上に及ぶことが珍しくなく、再発不安なども大変な問題となりうるからです。

緩和ケアはいつからか? という答えは、上記のようになります。

なおこれまでの印象で述べると、緩和ケアの受診時期はぴったり1割・遅め5割・遅すぎ4割・早いあるいは早すぎ0、そう感じます。

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