TS-1と副作用
経口の抗がん剤であるTS-1を服用している患者さんから、この症状はTS-1と関係していますか? と尋ねられることがあります。
「担当の先生に尋ねたら、違うでしょう? と一笑に付されてしまったのですが……」
そのような場合もありますね。
しかしそうは言っても抗がん剤ですから、様々な症状の原因になっていることはよくあります。
TS-1は胃がんの他、大腸がんや肺がん、乳がん、膵臓がんなど様々な腫瘍で使われています。
こんな副作用もあるということで、一応書いておこうと思いました。
なお、TS-1の添付文書は下記になります。
TS-1添付文書(PDF)
TS-1と眼の症状
関係ないでしょう? と言われてしまったという症状に、眼の症状があります。
TS-1の涙道障害からの流涙や、角膜障害は有名です。
対処法は静岡がんセンターの下記資料が詳しいです。
担当医が知らないこともあるので、眼科の受診を求めましょう。
腹痛や消化器症状
消化器症状は比較的多めです。
嘔気の頻度は22.3%あります。
食欲不振は33.9%。
下痢は18.7%です。
なお消化器症状ではないですが、全身倦怠感も22.3%です。
腹痛も0.1~5%未満ですが、ないとは言えません。
TS-1服用時期の増悪するような腹痛のケースは、関連を考える必要があります。
大切なことは、これらのデメリットを上回る効果に関して十分説明を受けることなのですが、短い時間の外来では、副作用についてスルーされたり、「仕方がない」の一言で終わってしまうこともあることです。
十分な説明が必要ですし、患者さんもよく聞くことや、医師以外の薬剤師や看護師に尋ねるなどの方法が必要となるでしょう。
TS-1と手足症候群
手足症候群はゼローダのほうが頻度が多く有名ですが、TS-1でも起こします。
下記の厚生労働省資料によると、21.8%です。
対処法も上のマニュアルに目を通して頂くと良いでしょう。
こちらも参考になるでしょう。
保湿ケアと早めの休薬・減量で症状は改善
早めの対策が治療継続につながる!手足症候群の予防と対策
担当医と相談し、皮膚科の受診を希望するのが良いと考えます。
まとめ
抗がん剤ですから、副作用もあります。
医師も副作用は出したくないですが、薬には必ずそれがあるので、やむを得ません。
重要なのは、デメリットをメリットが上回ることです。
ただ忙しさや、あまり認めたくない気持ちも働くのか、しばしば副作用が見過ごされたり、取り合ってもらえなかったりすることがあるようです。
適切な科への紹介を希望する他、薬剤師や看護師などにも相談する方法があります。
できるだけ治療のストレスは少なくしたいものですね。
もちろん早期緩和ケアの介入があれば、相談できる事柄でもあります。