音楽療法と緩和ケア効果について解説します。
音楽療法は良い
音楽療法は良さそうなのは推測されるところでしょう。
海外は本当に何でも調べますね。
52研究・3731人の結果をレビューしたものです。
Music interventions for improving psychological and physical outcomes in cancer patients.
結論として、音楽療法はがんの患者さんの不安や痛み、疲労、QOLに有益な効果をもたらす可能性があることを示唆されました。
さらに、音楽療法は心拍数、呼吸数、血圧に小さな影響を与えることがあるのだそうです。
人の注意は限られている
以前読んだ本で、人の注意が及んでいる範囲(意識が及んでいる範囲)は狭いことが指摘されていました(一方で無意識ではいろいろなサインを感じ取っているのです)。
同時並行で多くのことを為すのは容易ではないことから明らかなように、意識にのぼることは限られています。
ということは、多くの方がご自身でマネジメントされているように、意識から苦痛への注意や不安が追い出されれば、それらは軽くなります。
ただし、がんの痛みや苦痛の症状はそのようにしても難しい場合も多いので、薬の力を借りることも大切です。
さて、そのような意味でも、音楽はすごく良いですよね。
意識は音楽に向けられて、苦痛や不安は緩和されるでしょう。
もちろんそればかりではなく、リラックスしたり、他の方と楽しんだり、あるいは歌ったり手拍子をしたりして参加したりすることもできます。
不安だけではなく、痛みも緩和し、心拍数・呼吸数・血圧などにも影響するのだからすごいですよね。
ラフマニノフ
先日、ある音楽家の方に「好きなクラシック音楽の作曲家はいますか?」と尋ねられ、「ラフマニノフですね」と答えると「ああ」と。
最近ラフマニノフは有名になったので、にわかっぽい雰囲気が漂うのが残念なところです。
1990年頃には、ラフマニノフをはじめとした19世紀後半~20世紀初頭のロシア音楽にはまっていました。
初期のスクリャービン、メトネル、グラズノフ、カリンニコフ等々。
暗鬱な響きの中に、スラブの歌心がメロディアスに立ち込める、ロシアクラシック音楽に惹きつけられました。
ラフマニノフは中でも好きだったのですが、その後テレビドラマ等でも使われて知名度が増しましたね。
ラフマニノフが交響曲第1番の失敗によってうつ病に苦しみ、それから脱却してピアノ協奏曲第2番を成功させ、それを導いたダール医師に曲が捧げられていることなどを中学生の時に読み印象的でした。
それもあってか、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はうつに効くと言われています。
第一楽章の暗鬱、第二楽章の慰め、第三楽章の躍動。
聴者は、共感され、慰められ、活気づけられるとされているのです。
ただ今回気になって調べてみると、本当にうつ病の経験がある人が、「あの第一楽章は深奥を覗くので怖い、やばい」と書いてあるものがあり、確かに人によってはそれもあるかもしれないと思いました。
実際、第一楽章はうつの最中や直前に書かれたという噂もあるようですね。
シンクロしてうつになりそうと言うのですから、音楽は強い力を持っていますね。
もちろんその逆もあるわけで、つくづく興味深いです。
まとめ
良い音楽は耳と心に残るものです。
良い歌詞も、多くの方に、それぞれの理解で「あるある」という共感を呼び起こします。
悩みのスパイラルに陥った時は、思考をとりあえず中断し、好きな音楽や昔聴いた音楽をかけてみてはいかがでしょうか?
考えるだけが脳(能)ではありません。
時には、あるがままを音の流れの中に感じてみることも一法だと思います。