早期緩和ケア大津秀一クリニックではがんや慢性病のつらい症状や痛み、不安を早期からの緩和ケア外来で末期に限らず専門医大津秀一が全国対応。遠隔相談可オンライン対応緩和ケア外来で東京文京区所在。病気の進み具合や種類を問わず早期受診できます。スマートフォン等を用いたビデオ通話で相談することもできます。内科専門医でもあり身体全般に詳しいです。緩和ケア・緩和医療といえば当院にご相談ください。【診療科:緩和ケア内科・疼痛緩和内科・がん内科・がん精神科】

がんと精神・心理

がん再発検査の間隔と検査結果がわかるまでが不安 対処法は? 

検査前のがん再発・悪化がわかったらとの不安の対処法を解説

検査前のがん再発・悪化がわかったらとの不安の対処法

がんを患っておられる方にとって、再発するかしないかは大きな問題でしょう。

そのため、何か症状があれば、あるいは症状がなくても、再発に関して不安になるのは当然です。

そして、「再発をできるだけ早く発見したい」という方もいらっしゃれば、「先日行った検査で再発がわかるのではないか不安……」という方もいらっしゃいます。

私はよくその相談を受けますし、患っておられる方のことを思えば、当然の考えや不安だと思います。

今日はそのことについて解説します。

 

実は再発の早期発見は意味がないことも多い

実は再発の早期発見は意味がないことも多いのです。

何を言っているのか? と思われるかもしれません。

初発のがんに関しては、よく早期発見のメリットが言われるためです(※ただし、最近はそれも、あくまでがんの種類によることが明らかになってきています→詳しくは拙著「1分でも長生きする健康術」で書きました)。

しかし、それは再発に関しては妥当ではない可能性があります。

例えば、乳がんでも”再発を早期に発見して早く治療したケースと、症状が出現したのちに治療を開始したケースを比較しても、その後の生存期間に変わりがないことが種々の研究で明らかになっているのです”。

卵巣がんでも、腫瘍マーカーのCA125やCT検査による有益性の証明が乏しいことが指摘され、あまつさえCA125の上昇を指標に抗がん剤治療を早期に開始しても、生存率は改善せず、生活の質(QOL)は逆に低下する傾向すらも指摘されているのです。

早く治療を開始することが、生命の長さに好影響がなかったばかりか、余計に抗がん剤治療の回数が増えたので、デメリットのほうが多かったとされています。

もちろん一律に語ることはできませんが、このように「再発を早めに発見したい」と熱心に検査を求めることは、あまり良いことではない可能性があります。

そして、ましてや長期生存が期待できる場合や根治の可能性も相応に高い場合は、密に放射線を使用する検査を用いて被曝することは、別のがん等のリスクを増やさないとも限りません(→放射線を使用する検査での、発がん確率の上昇の目安を計算できるサイトも「1分でも長生きする健康術」で紹介しました)。

あまり目先のことに集中してしまうと、総合的には不利益な選択をしてしまうかもしれないのです。

 

いざ検査、その場合はどうする?

そうは言っても、不安が強い場合は、検査をして安心するという側面もあるでしょう。

医療は人が相手のことで、人には感情があります。

それなので、検査で安心することもあるのは否めません。

ただし、そのように「再発が不安」で検査をされる方は、検査の結果が出るまでにますます不安になるということも少なくありません。

問題なのは、検査を受けてから、結果を聞くまでにタイムラグがあることです。

大病院では、実際はその日か翌日までに、放射線読影のプロがレポートを作成してくれます。

したがって、検査の結果自体は比較的早く出るのです(もちろん例外はあります)。

ただ、その結果を聞く外来は、早くて数日後、場合によっては何週間も後ということはけっして珍しくありません。

すると、個人差はありますが、外来で結果を聞くまで、不安が収まらず、場合によってはいや増してしまう場合もあるのです。

 

できる範囲で担当医と交渉すべき

あまりこのことで悩まない方は、特段心配はありません。

けれども、この事柄が心配になる方は、対処法が1つあります。

それは、できるだけ、「検査の日と結果を聞く外来の間の日」の日数が少なくなるように、担当医と交渉することです。

前述したように、検査の結果が出ること自体は比較的早いです。

そして検査日も、お願いすれば前後させてもらえることは多いです。

それなので、自分が不安にならないように、検査と外来の日を近づけるようにすると良いでしょう。

 

そうは言っても不安

もちろんそうは言っても、症状があっても不安、なくても不安、そしてどれだけ日数が短くても検査から結果までは不安だと思います。

ただ(もちろんそう思うことは容易なことではないですが)、心配しても結果が変わるわけではありません。

またそれですぐに見つけたとしても、大勢には影響がないかもしれず、すぐに検査をしてすぐに結果を聞くことが良いとも限りません。

再発がなかったとしても、がんは5~10年、頭の片隅には再発がよぎる病気です。

がん治療の進歩とともに、ますます長期生存例が増え、長い期間病気と付き合う必要性があります。

不安を覚えるのはむしろ標準的ですが、自分なりに不安を抑える対処法をこの機会に培っておくと、どう転んでも役に立つ可能性があります。

運動をすることや、瞑想(マインドフル)なども良いかもしれません。

食事によっても不安が軽減することが示唆されています。

不安を減らすには、「不安を減らそう不安を減らそう」と念じるよりも、気がそらされる何かを見つけることも重要かもしれません。

繰り返しますが、再発の不安も、検査の前の不安も、誰にも起こり得る普通のことですし、少なくないことでもあります。

ただ述べてきたように、できる範囲でやれることはあるはずです。

早期からの緩和ケア外来ではこのような事柄の相談にのっていますし、ぜひ相談して良いことでもあります。

 

がんになっても、なっていなくても1分でも長生きする方法を本にしました。

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