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緩和ケア 病院 入院

ホスピス費用シュミレーション【2020年版】

早期緩和ケアクリニック外来の緩和医療専門医(緩和ケア医)大津秀一が解説するホスピス・緩和ケア病院の費用シュミレーション

【2020年1月30日更新】本年度から平均入院日数が30日未満でないと低い診療報酬となるという条項が撤廃されるとのことで、一般的には歓迎すべき変化と言えるでしょう。その点を追記しました。

ホスピス費用シュミレーション

「ホスピス費用シュミレーション」という言葉で調べられている方も多いようですね。

正確にはシミュレーションですが、検索されているのはシュミレーションのようです。

紛らわしいですね。

さて、ホスピスや緩和ケア病棟のお値段が気になるのだと存じます。

それを皆さんにお伝えします。

 

ホスピスと緩和ケア病棟で値段の違いはあるのか?

値段の差はありません

また日本では、ホスピスと緩和ケア病棟とで、内容に大きな差はありません

ただホスピスはキリスト教の背景のもとに、希望される方には宗教的なニードも満たすように運営されている施設が多いでしょう。

なお仏教系だとビハーラという施設があります。

金銭的には変わりありません

特に入信を勧められるわけではないし、宗教家の分まで費用負担を求められることもないので、必要に応じて宗教的なケアも希望できるホスピスのほうが若干割安と言えるでしょうか。

ただ変わらないと考えて差し支えないです。

 

ホスピスや緩和ケア病棟は高い?

よくある誤解。

「ホスピスや緩和ケア病棟は高いんでしょう?」

というもの。

いずれも、医療保険が適応されます。

そうは言っても、3割や1割といえども、相当なお値段になるのではないか? とご心配の方もいらっしゃるかもしれません。

けれども、「高額療養費制度」があるのですね。

1月の支払いには上限があり、4月目からはより低い上限になります。

具体的な上限は下記に記載されています。

高額療養費制度を利用される皆さまへ

医療費に関しては、この上限を超えることはありません。

なお、緩和ケア病棟の入院料(ホスピスも同じ)は下記となっています。

緩和ケア病棟入院料(1日につき)

1点=10円です。1日当たりの値段が下記になります。

1 緩和ケア病棟入院料1
イ 30日以内の期間 5,051点
ロ 31日以上60日以内の期間 4,514点
ハ 61日以上の期間 3,350点

2 緩和ケア病棟入院料2
イ 30日以内の期間 4,826点
ロ 31日以上60日以内の期間 4,370点
ハ 61日以上の期間 3,300点

3割負担の場合はだいたい一週間以内で高額療養費制度の上限に達します。

こちらもご参考にどうぞ→日本で緩和ケアを受ける費用(参考)

さて、緩和ケア病棟入院料1と2があり、1は次の項の基準が加わります。

 

なぜ最近のホスピスは長くいられないのか?

緩和ケア病棟入院料1を取れる施設は下記の通りです。

参考;緩和ケア病棟入院料の施設基準

13)以下のア及びイを満たしていること又はウを満たしていること。
ア 直近1年間の当該病棟における入院日数の平均が30日未満であること。
イ 当該病棟の入院患者について、以下の(イ)から(ロ)までの期間の平均が 14 日未満であること。
(イ)4)の医師又は当該医師の指示を受けた看護職員から説明を受けた上で、患者等が文書又は口頭で入院の意思表示を行った日
(ロ)患者が当該病棟に入院した日
ウ 直近1年間において、退院患者のうち、次のいずれかに該当する患者以外の患者が15%以上であること。
(イ)他の保険医療機関(療養病棟入院基本料、有床診療所入院基本料及び有床診療所療養病床入院基本料を算定する病棟及び病室を除く。)に転院した患者
(ロ)同一の保険医療機関の当該入院料にかかる病棟以外の病棟(療養病棟入院基本料を算定する病棟を除く。)への転棟患者
(ハ)死亡退院の患者

よくご覧ください。

「入院日数の平均が30日未満であること」という条件があるのですね。

★なおこの条件が、2020年度から撤廃されるようです。私も含めて緩和ケア医らが働きかけたためで、無理な追い出しが減ることが期待されます。

あるいはそれが満たせない場合、上のウの項目はわかりづらいですが、要するに在宅に帰る患者さんが15%以上もいないといけません

私がホスピス勤務をしていた時代は上記の規定がなかったので、身寄りのない精神疾患を併存している患者さんが500日以上入院して看取ったこともありました。牧歌的な時代でした。

今は上記のような規定があるので、帰せる患者さんはホスピスでも帰さないといけなくなりました。

同じことをしているのに、収益が減るからです。

このような制度が背景として存在します。

 

これに保険医療以外の費用を足します

上記の 緩和ケア病棟入院料(点)×10×保険料率(1~3割)×日数 が医療費になります。

高額療養費制度の上限を超えれば、そちらが費用になります。

月ごとの上限なので、月をまたぐとお金が増えることには注意が必要です。

他にかかる費用としては、食費があります。

食費はなんと、全国共通です。

入院中の食事代はいくら?一目でわかる食事代と今後の値上げ予定

2018年度は1食につき 460円です。1日1380円ですね。

これが実費でかかります。

食費はこの数年上昇していますね。

ただホスピス・緩和ケア病棟において最も重要な費用がこの後です。

 

それは差額ベッド料

ホスピス・緩和ケア病棟は半数を超えては差額ベッド料を取れません。

逆に言えば、ホスピス・緩和ケア病棟は半数のベッドで差額ベッド料を取れます

差額ベッド料は、病院が決められます。

それなので都市部は高く、地方は比較的安価です。

私が知る某県の緩和ケア病棟は広大な個室ですが、差額ベッド料が0です。

一方で、東京には目の玉が飛び出るほどの差額ベッド料のホスピス・緩和ケア病棟もあります

1日数万円レベルということですね。

私がかつて働いていたところは、1日1万円(当時)でした。

すると、

差額ベッド料なし→ ひと月8万円+α(医療費。高額療養費制度上限)+食費

なのに対し、

差額ベッド料あり→ ひと月8万円+α(医療費。高額療養費制度上限)+食費+30万円

となり、かなり違います。

それなのでどこも差額ベッド料なしの部屋は争奪戦になります。

各病院ごとに運用法は異なりますから、担当者とよくご相談ください。

 

まとめ

緩和ケア病棟やホスピスも医療保険が使えますから、基本的な費用は

医療費(医療保険。高額療養費制度あり)+食費+差額ベッド料

です。

差額ベッド料なしの場合は、とても高いとまでは言えないでしょう。

以上が簡単なホスピス費用のシミュレーションとなります。

 

 

 

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