がんと診断されたあと、「代替医療」を勧められることがあります
がんと診断されると、
- 家族
- 親族
- 友人
- 知人
- ときにはネット上の見知らぬ人
から、さまざまな「代替医療」を勧められることがあります。
「知り合いがこれで良くなった」
「抗がん剤より体に優しい」
「病院では教えてくれない治療」
そう言われると、心が揺れるのは当然です。
代替医療を考えてしまうのは、弱さではありません
まず大切なこととして、
代替医療に関心を持つこと自体は、決して間違いではありません。
- つらい治療を避けたい
- 少しでも楽になりたい
- 希望を持ちたい
そう思うのは、人として自然な反応です。
問題は、
「どう使うか」「何を期待するか」です。
「代替医療だけ」に頼ることのリスク
海外の研究では、
標準治療を受けず、代替医療のみを選択したがん患者は、
生存率が低下する可能性がある
ことが示されています。
代替医療の多くは、
- 効果を裏付ける科学的根拠が乏しい
- 効果があっても個人差が大きい
- がんそのものを小さくする証拠がない
という現実があります。
問題は「併用」ではなく「置き換え」
緩和ケア外来で特に心配になるのは、
- 標準治療を完全にやめてしまう
- 主治医に相談せずに進めてしまう
- 副作用や相互作用を把握しないまま続ける
といったケースです。
代替医療を標準治療の代わりにすることと、
生活の一部として慎重に取り入れることは、全く別です。
「勧めてくる人」は悪意があるわけではありません
代替医療を勧めてくる人の多くは、
- 善意
- 心配
- 何かしてあげたい気持ち
から行動しています。
だからこそ、
「断るのがつらい」
「否定するのが申し訳ない」
と感じてしまう方も少なくありません。
上手な向き合い方の一例
無理に議論する必要はありません。
例えば、
- 「主治医と相談しながら考えるね」
- 「今は治療を優先することにしている」
- 「話を聞いてくれてありがとう」
といった関係を壊さない距離の取り方で十分です。
緩和ケア外来でできること
緩和ケア外来では、
- 代替医療についての不安や疑問
- 主治医には聞きづらい話
- 家族との考え方の違い
を、落ち着いて整理するお手伝いができます。
代替医療を頭ごなしに否定する場ではありません。
同時に、現実的な視点を一緒に確認する場です。
大切なのは「希望」と「現実」の両立です
希望を持つことは、とても大切です。
同時に、現実から目をそらしすぎると、
迷っているなら、
決断する前に一度、誰かに話してみてください。
相談することは、治療を選ぶことでも、断ることでもありません。


















