今日は真面目に肩の力を抜いた内容です(たまには)。
話題のしゅんしゅんクリニックP
群馬大学医学部卒業の芸人である、しゅんしゅんクリニックP。
YouTubeにも面白い動画を載せていますね。
よしもと初の医者芸人らしいですね。
私がしゅんしゅんクリニックPを知ったのは、Nさんのブログから。
テレビもあまり見ない私には、ブログが重要な情報源です。
Nさん、ありがとうございました。
しゅんしゅんクリニックPの「お薬言えるかな?」
しゅんしゅんクリニックPと言えば、有名なのは「ヘイヘイドクター」のようですね。
【ヘイヘイドクター】しゅんしゅんクリニックP Full Version
最後の頃に結構際どいことを言っていますね。
今回、シュッ、紹介するのは、「お薬言えるかな?」
ポケモン言えるかな? の医療風アレンジだそうです。
ただこれを聞いて……私は驚きました。
ぜひWi-Fi環境のあるところで、まず下の動画(YouTube)をご覧になってください。
しゅんしゅんクリニックPの「お薬言えるかな?」は緩和薬が多い
私は緩和ケア医ですから、緩和関連の薬剤(ここでは緩和薬と呼びます)をよく使用します。
しゅんしゅんクリニックPの「お薬言えるかな?」の薬剤は次の順に、メロディーに乗って唱えられます。
バファリン
ハイペン
ロピオン
バキソ
ソセゴン
ロルカム
ボルタレン
カロナール
モービック
クリノリル
アンヒバ
ブルフェン
レペタン
メチロン
ロキソニン
◯◯◯の名前~♪
そして次に。
アローゼン
ダイオウ(大黄甘草湯)
ピコベン
セチロ
プルゼニド
アジャスト
マグミット
ベンコール
モニラック
ラキソベロン
ビーマス
ヨーデル
ヒマシ油
ミルマグ
グリセリン
◯◯の名前~♪
さて皆さん、これらの薬剤のカテゴリーは何でしょうか?
〇〇〇や〇〇に入るのは何か、ということですね。
皆さんはわかりましたか?
しゅんしゅんクリニックPは緩和ケア医かと思った
しゅんしゅんクリニックPは東京丸の内で
AGA発毛専門クリニック「アゲインメディカルクリニック」
の院長をしているようです。
確かに、下記ではしゅんしゅんクリニックPの姿があります。
宮本駿先生が本名なのですね。
さて、「お薬言えるかな?」はカテゴリー別に、同じカテゴリーの薬剤の名前を列挙して進んでいきます。
最初のカテゴリーは、そう、「鎮痛薬」ですね。
次のカテゴリーは、「便秘薬」です。
緩和ケアでよく使う薬剤群なのです。
それなので一瞬、しゅんしゅんクリニックPは緩和ケア系の医師か?! と思ったのでした。
けれども「お薬言えるかな?」と聴いてゆくと、糖尿病の薬剤等も出てきますし、たまたまだったわけですけれどもね。
お薬言えるかな? の鎮痛薬と緩和ケア繁用薬
さて、せっかく緩和ケア医の私がこの記事を書いているので、しゅんしゅんクリニックPが「お薬言えるかな?」で挙げた薬剤が緩和ケア的にはどうなのかを解説しましょう。
記号は使う・使わないの頻度で表示しています。良い悪いではないのでご注意ください。
× バファリン
アスピリン。血栓予防に用いられる。
緩和ケアにおける痛み止めの目的では、使用しない(他に薬剤があるため)。
〇 ハイペン
エトドラク。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)。COX-2選択的阻害薬。
消化管粘膜障害が少ないが、鎮痛効果に関しては個人的な意見としてはCOX-2選択的でない薬剤ほどではない印象も。
ただし繁用される緩和ケア医もいるため、一概には言えないでしょう。
〇 ロピオン
フルルビプロフェン。貴重なNSAIDsの「注射薬」
注射薬でも胃粘膜障害のリスクは不変であるため注意。
× バキソ
ピロキシカム。NSAIDs。中等度のCOX-2選択性を持つ。
特に緩和ケアで選ぶ意味は乏しく、私は使わない。
×× ソセゴン
ペンタゾシン。医療用麻薬指定ではないが、オピオイドに属する。
他のオピオイド鎮痛薬の効果と拮抗する可能性があり、また効果の割に依存性などが問題になる。
緩和ケアでは使うべきではない薬剤。
× ロルカム
ロルノキシカム。COX-2選択性が高いNSAIDs。
あまり使用する局面がない(私は)。
◎ ボルタレン
ジクロフェナク。NSAIDs。意外にもCOX-2選択性が比較的ある。
徐放製剤を使うと、朝方の痛みに関して良い可能性あり。
私にとっては緩和ケアを行う必須薬。
◎ カロナール
アセトアミノフェン。NSAIDsではなく、抗炎症作用を持たず、作用も中枢性(NSAIDsのような末梢性ではない)。
高用量投与が認められるようになり、効果の向上が感じられる。
胃粘膜障害や腎機能への懸念が実際的にはほぼなく、使用しやすい。
緩和ケアの必須薬。
× モービック
メロキシカム。COX-2選択性が高いNSAIDs。
あまり使用する局面がない(私は)。自分に使ってみた際に、ロキソプロフェン等と効き方が全く異なり驚いた。
× クリノリル
スリンダク。NSAIDs。中等度のCOX-2選択性を持つ。
私は使う理由がないため、使わない。
〇 アンヒバ
アセトアミノフェンの坐薬。カロナール参照。
500mg錠がある経口薬と比べると力価が低めなのが残念。
× ブルフェン
イブプロフェン。NSAIDs。
頭痛の「イブ」で有名だが、緩和ケアで使う局面はほとんどない。
△ レペタン
ブプレノルフィン。弱オピオイド。医療用麻薬指定ではないが、作用点は医療用麻薬と類似。
医療用麻薬の作用を妨げる可能性があるので、次に他の医療用麻薬を使うことを想定している際には注意が必要。
貼付剤の商品名ノルスパンテープは、がんの痛みの適応が保険上はない。
× メチロン
スルピリン。使わない。
◎ ロキソニン
ロキソプロフェン。NSAIDs。
緩和ケアの基本薬。ただし半減期が短いため、1日3回投与だと朝方の疼痛増悪があるかも。
以上です。結構マニアックな薬剤も含まれていますね。
お薬言えるかな? の便秘薬と緩和ケア繁用薬
次は便秘薬ですね。
さすがに最近出てきたような便秘薬は含まれていませんでした。
私はほとんど、酸化マグネシウム及びラクツロースの緩下剤、滴数で調節容易なピコスルファート液(商品名ラキソベロン内用液)、必要に応じて新規薬で治療しているので、下記に挙げたもののほとんどはあまり使用しません。
それなので簡単に解説します。
△ アローゼン
センナ。大腸刺激性下剤
△ ダイオウ(大黄甘草湯)
大腸刺激性下剤。
〇 ピコベン
ラキソベロン液のジェネリック。出したことないですね。
△ セチロ
ダイオウ、センナの配合錠。大腸刺激性下剤。
△ プルゼニド
センナの有効成分であるセンノシド。大腸刺激性下剤。
△ アジャスト
センナエキス。大腸刺激性下剤。
◎ マグミット
酸化マグネシウム。塩類浸透圧性下剤。いわゆる「便を軟らかくする薬」
腎不全患者の高マグネシウム血症には注意。
緩和ケアにおける便秘の基本薬。
△ ベンコール
ジオクチルソジウムスルホサクシネートとカサンスラノールの配合錠。舌を噛みそうですね。大腸刺激性下剤。
〇 モニラック
ラクツロース。糖類浸透圧性下剤。「便を軟らかくする薬」
適応症は、高アンモニア血症に伴う次の症候の改善(精神神経障害、手指振戦、脳波異常)、産婦人科術後の排ガス・排便の促進、小児における便秘の改善のみ。一般的な便秘に対しては保険上の適応外。
◎ ラキソベロン
ピコスルファートナトリウム。緩和ケアの大腸刺激性下剤のゴールドスタンダード。繁用薬。
止めると便秘、増やすと軟便や下痢になりがちで、調節は容易ではない(個人差あり)。
自然な排便状態に近づけるのは永遠の課題でしょう。
△ ビーマス
ジオクチルソジウムスルホサクシネートとカサンスラノールの配合錠。大腸刺激性下剤。ベンコールと同じ。
△ ヨーデル
センナエキス。大腸刺激性下剤。アジャストと同じ。
△ ヒマシ油
小腸刺激性下剤。小腸で加水分解されて、小腸を刺激するリシノール酸と粘滑作用のあるグリセリンとなる。
△ ミルマグ
水酸化マグネシウム。塩類浸透圧性下剤。
◎ グリセリン
浣腸に使用。肛門からのアプローチが不可欠な場合もあるため、必須薬。
肛門近くに便が硬結して出ない場合に適する。
腸管内圧が上がり腸管穿孔を起こすことがないとは言えないため、摘便後に腸管内圧を下げてから使うのが好適。
しゅうしゅうクリニックSK
実は上記の鎮痛薬や便秘薬以外も、緩和ケアで使用する薬剤はいくつか歌に出て来ます。
最後のカテゴリーの、呪文のような名前の薬ですね。リンデロン(緩和ケアの必須薬の1つ)も出て来ますね。
それにしても、しゅんしゅんクリニックP、現役の医者で芸人、確かに今までなかった形ですね。
私もこれまでにない早期緩和ケアの形式を提供する者として、しゅうしゅうクリニックSK(DAIGOさん風味の、早期緩和ケアでSK)として頑張っていきたいです。と言いますか、これではジェネリックみたいですね。
冗談はともかく、まだまだ早期緩和ケアの知名度は低く、引き続き努力していきたいです。