写真はαリノレン酸が豊富なくるみです。この形……人の何かに似ていますね。
そう脳ですね。
実はαリノレン酸のような脂肪酸が脳に影響して不安を抑えるという話があるのです。
不安を減らす方法
病気になると、不安は付き物です。
もちろん大きな個人差があります。
不安に思うと、「なんでこんなに不安になるんだろう」と自分を責めたり、嫌になったりすることもあるかもしれません。
ところで、人の脳には扁桃体という場所があり、恐怖などの感情に関係しているとされます。
恐怖を覚えないなんてさぞかし良いだろうと思いきや、生活上のリスクがあるそうです。
恐れを知らないことはハイリスクの行動を厭わず、身の危険を招きます。
痛みを感じない特異体質の人が、傷だらけとなり、怪我が絶えないのと似ています。
不安や恐怖があるから、現実の環境に我が身を調整していける側面も無視し得ないでしょう。
適度な不安もまた、生きてゆくためには大切なのだと考えられます。
そんな不安ですが、軽いほうが良いのはもちろんのことでして……
そうはいっても、過度の不安は、生活しにくさに関係するものです。
何事もほどほどが一番です。
がんなどの病気において、例えば瞑想(マインドフルネス)や運動等が不安に対して良いことは明らかになってきています。
思考の流れを整えたり、身体を動かして良いということは感覚的に理解しやすいです。
ブログ等に記すことで、自身の感情を表出することも、良いとは言われています。
これも理解しやすいでしょう。
しかし、なんと「食べ物」までそれを改善しうるのではないか、という知見まで出て来ました。
国立がんセンターが発表 オメガ3系脂肪酸が不安を減らす
オメガ3系脂肪酸の摂取による不安症状の軽減をメタアナリシスで確認
上記のメタアナリシスで、オメガ3系脂肪酸が不安を減らすという結果が示されました。
詳細はリンク先をご覧になって頂ければと思いますが、オメガ3系脂肪酸を摂取した群はオメガ3系脂肪酸を摂取していない群と比較して不安が軽減されるという内容です。
摂取量としては「オメガ3系脂肪酸を少なくとも2000mg摂取した場合」に抗不安効果を認めるとのことです。
オメガ3系脂肪酸は、植物由来のαリノレン酸や、海産物、特に青魚(イワシ、サバ、ニシン、ブリ、カツオ、マグロ、サケなど)由来のエイコサペンタエン酸・ドコサヘキサエン酸等です。
しかし、なんでオメガ3系脂肪酸を取ると不安が取れるのか、皆さんは気になりませんか?
私も気になりました。
扁桃体に影響 オメガ3系脂肪酸
なぜオメガ3系脂肪酸が、不安を減らすのか。
もちろんこれにもあるメカニズムが考えられています。
国立精神・神経医療研究センターの下記の記事が日本語で読みやすく参考になります。
こちらの記事では、単にオメガ3系を摂るだけではなく、オメガ6系脂肪酸を抑える必要性について言及されています。
そのように、オメガ3系を積極摂取し、オメガ6系を抑えると、脳内のカンナビノイドCB1受容体の活性が増強することによって、扁桃体の過剰活動を抑制するというメカニズムが働くとのことなのです。
先程出てきた扁桃体です。
その過剰な働きを抑えるのだそうです。
さらに、この国立精神・神経医療研究センターの記事では、「社交不安障害や様々な不安症の患者さんの混合群で、健常者に比べてオメガ3系の血中濃度が低く、オメガ6系が高い場合が多いと報告」とも記載されています。
がん関連の不安だけではないという話なのですね。
また、ご存知のかたもいらっしゃるかもしれませんが、これらの不安関係の話だけではなく、オメガ3系脂肪酸は、炎症を抑えることで、がんの身体的側面に関しても良い影響がかねてから指摘されてきた物質です。
今回の知見を合わせると、心身ともに良い影響が期待できるということになります。
まとめ
食事を変えることは必ずしも容易なことではありません。
しかし少しずつ、健康な人にも良い食事が、がんになっても良いということがわかってきています。
食事は、一方で、専門家にしてもらわなくても、自分でできる代表的な治療です。
ただ残念ながら、流布している情報は、偏ったものが多く、まっとうなものよりも極端なものが幅を利かせる傾向もあります。
そんな中において、まともな知見もこのように出て来ています。
不安でお悩みの方は、オメガ3系脂肪酸が相対的に多い食事(オメガ6系脂肪酸は増やさない)を少しトライしてみてはいかがでしょうか?