胃がん末期・進行胃がんの症状と、どうすれば苦痛が少なく穏やかに元気で長生きできるのかを解説します。
胃がんの緩和ケアも進歩している
胃がんも、消化管の腫瘍なので、胃がんが進行すると閉塞症状を来します。
ステントという管を腫瘍で閉塞しかけている部位に内視鏡で留置することで、完全閉塞を防ぐ手技が用いられています。
胃の出口(幽門)の狭窄よりも、胃の入口(噴門)の狭窄のほうが一般に難渋します。
幽門部狭窄ならば、胃は食物をある程度の量はためられます。
胃管を用いることも可能です。
噴門部狭窄だと、食道から入った食べ物がすぐに戻ってきてしまいます。
つばなどを多く飲み込んでも、吐いてしまうことになるなど、非常に心身のストレスとなります。
大腸がんの腸閉塞に比べると、このような上部消化管の狭窄・閉塞症状には薬物療法の効きも良くはありません。
薬物だけではなく、多様な症状緩和の知識が必要となります。
胃がんも、免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(商品名オプジーボ)や、血管新生阻害剤であるラムシルマブ(商品名サイラムザ)など、抗がん剤の他にも多様な薬剤が治療に使われるようになってきています。
そのため、抗がん剤などのがん治療の副作用対策も必要になります。
早期からの緩和ケアの並行が肝要でしょう。
胃がんの苦痛症状
緩和ケア情報をお届けする早期緩和ケア相談所ページでも、胃がんの緩和ケアを紹介しています。
胃がんは肝臓などに転移し、痛みの原因になります。
腹腔神経叢(ふくくうしんけいそう。網目状構造の神経細胞の小集団)に浸潤し腹痛の原因になったりするケースもあります。
腹腔神経叢浸潤は難治性の神経障害性疼痛の原因となります。
時に神経ブロックの併用も望ましいでしょう。
腫瘍が腹膜に播種すると、腹膜播種を来します。
腹膜播種は痛みの原因になる他、腸閉塞を来したり、腹水が出現したりします。
腸閉塞もかなり強い疝痛(せんつう。発作的に起こるはげしい腹痛)の原因になります。
胃がんも上記のように種々の痛みを起こして来ますし、痛みだけではなく、腹水や腸閉塞などの問題が起こる可能性があり、緩和ケアを行うのには専門的知識と経験が必要で、熟達した医師に相談する必要があります。
痛みは、医療用麻薬にアセトアミノフェン、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などを組み合わせて治療します。
神経叢浸潤に伴う神経障害性疼痛には、鎮痛補助薬(痛み以外の主作用がある薬剤だが、痛みにも作用する薬剤。プレガバリン<商品名リリカ>やデュロキセチン<商品名サインバルタ>などは、神経障害性疼痛に対する適応もある)を追加することもあります。
最終末期の身の置き所のなさは鎮静で対応
末期胃がんになると、倦怠感やせん妄が出現・増悪します。
余命数日となると、身の置き所のない様態を示し、患者さんは苦しまれ、看ているご家族もつらいです。
このような時の緩和策が「鎮静」を受けることです。
上記の参考資料や動画もご覧ください。
命を縮めず、眠った状態に導かれることで、苦痛緩和されます。
胃がんの患者さんは、他の腫瘍の最終末期と同様に、身の置き所のない様態を示すことがしばしばあるため、鎮静ができる医師にかかると安心だと考えられます。
まとめ
胃がんの緩和ケアに関して動画で解説しました。
生きるために緩和ケアを併用する流れがますます加速してきています。
参考;腫瘍学<がん治療・抗がん剤治療等>と緩和ケアの統合(早期からの緩和ケア)は世界的な課題
攻めの治療に守りの治療を追加することが、良い結果を得ることにつながります。
早期からの緩和ケアをご活用頂ければと思いますね。