子宮がん末期・進行子宮がん(子宮頸癌<子宮頚癌>と子宮体癌)の症状と、どうすれば苦痛が少なく穏やかに元気で長生きできるのかを解説します。
進行子宮がんの緩和ケア
子宮体がんは罹患数が最も多いです(死亡数は卵巣がんが最も多い)。
婦人科がんは抗がん剤ではプラチナ系製剤とタキサン系製剤への感受性が強いために、プラチナ系製剤とタキサン系製剤パクリタキセルの併用療法が標準的に用いられるのだそうです。
子宮がんの分子標的薬としては、現在ベバシズマブ(商品名アバスチン)が子宮頸がんに使用可能です。
しかし実は元来の抗がん剤以外に、使用できる分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などが乏しいのが婦人科がんの特徴でした。
一方で、2018年6月米国食品医薬品局(FDA)がPD-L1発現陽性の、化学療法施行中あるいは施行後に増悪した再発・転移性子宮頸がんの治療薬としてペンブロリズマブ(商品名キイトルーダ)を承認しており、日本でも使用可能となってくることが予測されています(2018年末現在)。
これら抗がん剤などのがん治療の副作用対策も必要になります。
早期からの緩和ケアの並行が肝要でしょう。
子宮がんの苦痛症状
緩和ケア情報をお届けする早期緩和ケア相談所ページでも、子宮がんの緩和ケアを紹介しています。
子宮がんが進行すると痛みの原因になります。
医療用麻薬が疼痛の緩和に有効です。アセトアミノフェン、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などを組み合わせることもあります。
特に子宮頸がんは進行に伴い、骨盤神経叢浸潤(こつばんしんけいそうしんじゅん。骨盤内の神経が網の目状になっている部位へのがんの進展)から難治性の神経障害性疼痛(神経の痛み)を来しえます。
神経叢浸潤に伴う神経障害性疼痛には、鎮痛補助薬(痛み以外の主作用がある薬剤だが、痛みにも作用する薬剤。プレガバリン<商品名リリカ>やデュロキセチン<商品名サインバルタ>などは、神経障害性疼痛に対する適応もある)を、医療用麻薬等に追加することもあります。
また子宮がんは下肢からのリンパの流れを妨げ、リンパ浮腫の原因となります。
リンパ浮腫も難治性の下肢のむくみをもたらします。
リンパ浮腫は普通のマッサージでは良くなりませんし、皮膚を傷つける可能性があります。
むくみで伸展されている皮膚は傷つきやすいのです。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚の下の軟部組織の感染症を来たすことにもつながります。
リンパドレナージという特別な手技が必要です。
最近は病院の看護師に専門家が1人は在籍していることもしばしばありますから(特に大病院やがん拠点病院等では)、周囲にむくみの対処について尋ねてみると良いでしょう。
もちろん緩和ケアの担当者への相談も有効です。
最終末期の身の置き所のなさは鎮静で対応
末期子宮がんになると、倦怠感やせん妄が出現・増悪します。
余命数日となると、身の置き所のない様態を示し、患者さんは苦しまれ、看ているご家族もつらいです。
このような時の緩和策が「鎮静」を受けることです。
上記の参考資料や動画もご覧ください。
命を縮めず、眠った状態に導かれることで、苦痛緩和されます。
子宮がんの患者さんは、他の腫瘍の最終末期と同様に、身の置き所のない様態を示すことがしばしばあるため、鎮静ができる医師にかかると安心だと考えられます。
まとめ
子宮がんの緩和ケアに関しては動画でも解説しています。
生きるために緩和ケアを併用する流れがますます加速してきています。
参考;腫瘍学<がん治療・抗がん剤治療等>と緩和ケアの統合(早期からの緩和ケア)は世界的な課題
攻めの治療に守りの治療を追加することが、良い結果を得ることにつながります。
早期からの緩和ケアをご活用頂ければと思いますね。