ベージニオの間質性肺炎で3人が死亡
乳がん治療薬のベージニオで、間質性肺疾患により3人が死亡したと報じられました。
ベージニオは日本では2018年に承認され、2000人が使用しているとされています。
ベージニオは選択的CDK4/6阻害薬と呼ばれ、ホルモン受容体(HR)陽性乳がんにおいて活性化されているCDK4/6を持続的に阻害することで、細胞周期の停止が持続し、腫瘍細胞の老化や細胞死がもたらされるという効き方の薬剤です。
同じ系統の薬剤にイブランスがあります。
両薬の違いについては一度記事にしています。
ベージニオとイブランスは間質性肺炎が出る
添付文書を見ると、どちらも間質性肺疾患について記載があります。
ベージニオは
「間質性肺疾患(2.7%)
間質性肺疾患があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤を中止するなど、適切に処置を行うこと」
イブランスは
「間質性肺疾患(頻度不明)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと」
とあります。
ベージニオの添付文書には頻度が書かれていますね。
間質性肺炎の初発症状は?
呼吸困難、咳嗽、発熱等が挙げられます。
それらの症状があれば、胸部X線検査の実施が検討されます。
使用中の方で、これらの症状が急に出現したり、あるいは少しずつ悪くなるようならば、ベージニオやイブランスの処方医にまずは相談しましょう。
どんな人が間質性肺炎になりやすい?
違うがんの、違う系統の薬剤の話なので、あくまで参考程度ですが、このような指摘もあります。
喫煙歴や間質性肺炎の履歴がある人などが挙げられています。
ただもちろん、出ない人のほうが多いのであって、これらの条件があっても出ない人は出ないです。
あくまで症状が出たらしっかり担当医に相談するというのが大切です。
間質性肺炎の治療は?
原因薬の中止が大切です。
そのため、上記の症状が出たら、しっかりと担当医に相談し、速やかに診断に至ることが大切です。
もちろん咳や発熱は、感冒等でも認められるものなので、心配しすぎないことですが、まずは相談です。
薬剤性の肺障害の治療については下記のページが詳しいです。
ステロイドのプレドニゾロン投与(中等症)や、大量のステロイドを使用するパルス療法(重症)などが行われます。
まとめ
頻度としては多くはありませんが、出ると厄介なのが間質性肺炎です。
大切なのは、速やかに対処すること。
そのためには、ベージニオやイブランスでも間質性肺疾患が起こることを知っておいて、使用中に呼吸困難・咳・発熱などが出現するようならば、処方医と速やかに相談することが大切でしょう。
なお、ベージニオの開始初期に多い下痢の対策はこちら。頻度でいえばこちらのほうが多くの方の問題にはなりますね。
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