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抗がん剤治療 緩和ケア

アバスチンの”ジェネリック”(バイオシミラー)が3分でわかる

アバスチンのジェネリック・バイオシミラーを解説

2019年にアバスチンの”ジェネリック”「バイオシミラー」が承認されています。

がん治療に携わる、治療と並行した緩和ケア医である私が、改めてアバスチンとバイオシミラーについて解説します。

 

アバスチンを知っていますか?

皆さんはアバスチンをご存知でしょうか?

アバスチンはこれまでの抗がん剤とは異なる分子標的薬です。

分子標的薬とは、非常に簡単に言うと、がんを引き起こす遺伝子異常等に作用する薬剤であり、いわゆる「ピンポイント」で効く薬です。

アバスチン(一般名ベバシズマブ)は、がん細胞の増殖に関わるVEGF(血管内皮細胞増殖因子)に作用します。

VEGFは血管新生に関係していますので、これを阻害することで、腫瘍の増殖や転移を抑えたりする作用を得られます。

2019年6月18日に同じく承認を取得した、昨日紹介したポートラーザは同じ分子標的薬でもヒト上皮成長因子受容体(EGFR)を標的としていますので、違った場所です。

なお、アバスチンと同じVEGF阻害剤は2019年6月現在国内では3種類あり、他にはサイラムザ(一般名ラムシルマブ)、ザルトラップ(一般名アフリベルセプト)があります。

 

広く使われるアバスチン

VEGF阻害剤3兄弟?の中でも、アバスチンは最初に出ました。

適用症も一番広いです。これら3剤の適用症を列記します。いずれも2019年6月現在です。

【アバスチン】

・治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

・扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

・卵巣癌

・進行又は再発の子宮頸癌

・手術不能又は再発乳癌

・悪性神経膠腫

【サイラムザ】

・治癒切除不能な進行・再発の胃癌

・治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

・切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

【ザルトラップ】

・治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

3剤の中では、アバスチンは乳がんや卵巣がん、子宮頸がん等の女性のがんの適用症を持っているため、使用される方も多く、相談を受ける機会が多いです。

 

アバスチンの副作用

血管新生を抑えるので、血管系の副作用や、創傷治癒遅延などが特徴的な副作用です。

高血圧の頻度は多く、添付文書上18.0%です。

尿蛋白陽性も特徴的で、10.4%に認めるとされます。

他、消化管穿孔(0.9%)、出血(19.4%)<ただし鼻出血が15.3%と多くを占め、重篤な場所の頻度は必ずしも多くはない>などが認められます。

脳転移を有する場合も脳出血を起こすことがあるとされ、それらをうけて「消化管など腹腔内の炎症を合併している患者」「大きな手術の術創が治癒していない患者」「脳転移を有する患者」「抗凝固剤を投与している患者」等の場合で慎重投与となっています(★ただし、投与してはいけない”禁忌”にはなっていない)。

 

アバスチンにも”ジェネリック”(バイオシミラー)が

さて、ジェネリックは皆さんもご存知でしょう。

薬の特許が切れると、それと同じ有効成分で他の製薬会社が製造・供給する薬品で、値段が安くなります。

医療費抑制のために、ジェネリック薬品の使用が奨励されているので、皆さんも情報に触れたことがあるでしょう。

今回、なんとアバスチンの”ジェネリック”が出るのです。

ただし、アバスチンのような薬剤は、複雑な構造をしており、全く同じにすることは困難なのです。

そのため、バイオシミラーというものが、一般的な薬剤でいうジェネリックとなります。アバスチンのジェネリックという表現は間違いで、正確にはアバスチンのバイオシミラーと言います。

ただジェネリックとは異なり、完全に同じでない分、新薬に準じる効果の証明が必要とされるとのこと。

参考;バイオシミラーとジェネリック医薬品の違い

それもあって、ジェネリックは後発品が初めて収載される場合先発品の50%と半値になるのに比べると、バイオシミラーの薬価は先発品の70%が基本、10%までの上乗せの可能性もある(つまり80%)とのことです。

ただ、バイオシミラーの元となる先発品(今回はアバスチン)は、だいたい高額なので、それでもディスカウントの金額は大きくなるでしょう。

例えばアバスチンの金額は下記となります。

・アバスチン点滴静注用100mg/4mL    41738円/瓶

・アバスチン点滴静注用400mg/16mL  158942円/瓶

「手術不能又は再発乳癌」の場合は、アバスチンは2週に1回10mg/kg(体重)なので、体重50kgの方は1回200680円、月で約40万円かかります。もちろん高額療養費制度を使って頂いて、上限は8万円+αなどになるわけですし、バイオシミラーを使っても高額療養費制度の上限になることは変わりがないわけですが、薬価は下がりますね。

 

アバスチンのバイオシミラーまとめ

アバスチンは2018年の国内医療用薬でなんと売上第2位になっており、売上額は1175億円に及んでいます。

そして驚くなかれ、2017年は売上1位だったのです。

このように強大な売上を誇ります。

アバスチンは中外製薬が出していますが、今回のバイオシミラーはファイザー製薬が出すとのことです。

またその適用症は「結腸がん、直腸がん」のみとのことです。

ジェネリックに比べるとさらに違う薬剤ですので、はたしてどうか。現場での感想が待たれます。

 

 

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