「緩和ケア=終末期医療」という誤解は、なぜここまで根強いのか
「まだ早いと思っていた」
「もう治療ができなくなった人が行くところだと思っていた」
「行ったら“諦めた”と思われそうで怖かった」
緩和ケア外来で、患者さんやご家族から何度も耳にする言葉です。
しかし実際には、
緩和ケアは“終末期に限った医療”ではありません。
それでもなお、この誤解が繰り返されるのには、
誤解の理由①|「緩和ケア」が最初に広まった場所が“病棟” だった
日本で「緩和ケア」
緩和ケア病棟(ホスピス)が先でした。
そのため多くの人にとって、
- 緩和ケア=入院
- 緩和ケア=最期の場所
- 緩和ケア=治療が終わったあと
というイメージが、最初に刷り込まれてしまったのです。
一方で、
外来での緩和ケア
治療と並行して行う緩和ケア
が広がってきたのは、ずっと後のことでした。
誤解の理由②|「切り替える」という言葉が与える強い印象
医療現場では今も、
- 「緩和ケアに切り替えましょう」
- 「治療は難しいので、緩和ケアを考えましょう」
という説明が使われることがあります。
この「切り替える」という言葉が、
- 治療をやめる
- 見放される
- 最後の段階に入った
という印象を強めてしまいます。
本来、緩和ケアは
“切り替えるもの”ではなく、“重ねて使うもの”
であるにもかかわらず、
「緩和ケアに切り替える」については下記の記事も参考になります。
がん患者が「緩和ケアに切り替える」と言われたとき、何が変わるのか
誤解の理由③|医療者側も「説明する余裕」がない現実
がん診療の現場は、非常に忙しいのが実情です。
- 外来時間は限られている
- 検査・治療の説明で精一杯
- 心の不安や生活の悩みまで踏み込めない
その結果、
「緩和ケアが本来どんな役割を持つのか」
を十分に説明されないまま、
誤解は、患者さんの理解不足ではなく、
医療の構造そのものから生まれているのです。
誤解の理由④|「症状がないと行ってはいけない」と思われている
多くの方がこう考えています。
- 痛みが出てから
- つらくなってから
- 我慢できなくなってから
しかし実際には、
症状が軽いうち、あるいは症状がなくても
緩和ケア外来を受診してよいのです。
不安、迷い、気持ちの整理、家族との関係、仕事との両立──
これらもすべて、緩和ケアが扱う大切なテーマです。
本来の緩和ケアの役割とは何か
緩和ケアは、
- 痛みを取る医療
- 最期の医療
ではありません。
本来の役割は、
病気とともに生きる時間を、少しでも穏やかに、
納得のいくものにすること
です。
治療を受けていても
治療が順調でも
まだ先のことが不安でも
相談してよい場所です。
誤解が解けたとき、見える選択肢が増える
「緩和ケアはまだ早い」
そう思っていた方が、
- 話を聞いてもらえた
- 不安が整理できた
- 主治医との関係が少し楽になった
と感じることは、決して珍しくありません。
誤解があるままでは、
本来使えるはずの支えに、たどり着けないのです。
迷っている段階こそ、相談してよい
このページを読んでいるあなたが、
- 行くほどではない気がする
- でも不安が消えない
- 誰に相談すればいいかわからない
そう感じているなら、
それは緩和ケア外来に相談してよいサインかもしれません。
早すぎることはありません。
誤解のせいで、一人で抱え込まなくていいのです。






















