「延命しないと苦しむのではないか」
がんの治療が難しくなったとき、
「延命治療は行わない」
そのとき、多くの方がこう思います。
「延命しなければ、苦しむのではないか」
この不安は、とても自然なものです。
延命治療と苦痛はイコールではない
まず整理しておきたいことがあります。
延命治療とは、
- 抗がん剤を続ける
- 人工呼吸器を使用する
- 心肺蘇生を行う
といった、生命を長く保つことを目的とした医療です。
一方で、苦痛の有無は
- 痛みの管理
- 呼吸苦の緩和
- 不安やせん妄への対応
- 全身状態のケア
といった症状緩和の質に大きく左右されます。
延命をしない=苦痛が増える、
という単純な関係ではありません。
しかし、「放置」すると苦しむ可能性はある
ここが重要な点です。
延命治療を選ばないことと、
医療的関与をやめることは同じではありません。
もし、
- 痛みの調整が不十分
- 呼吸苦への対応が遅れる
- せん妄や不安が放置される
といった状態が続けば、
確かに終末期はつらいものになります。
それは「延命しなかったから」ではなく、
適切な緩和ケアが行われなかったからです。
緩和ケアは「延命の代わり」ではない
緩和ケアは、
- 延命治療をしている人にも必要
- 延命治療をしない人にも必要
な医療です。
その目的は、
命の長さではなく、時間の質を支えること
です。
延命を選ばない場合こそ、
緩和ケアはより重要になります。
よくある誤解
- 延命しない=何もしない
- 治療をやめる=医療が終わる
- ホスピス=苦しむ場所
これらはすべて誤解です。
適切な緩和ケアが行われれば、
- 痛みはコントロールできることが多い
- 呼吸苦は軽減できる
- 不安は和らぐ
可能性があります。
大切なのは「どの医療を受けるか」
延命をしないと決めたとき、
本当に重要なのは
「何をやめるか」ではなく「何を受けるか」
です。
- 痛みの専門的な管理
- せん妄への対応
- 家族への支援
- 在宅か入院かの選択
これらを整えることで、
苦痛は大きく変わります。
まとめ
延命しない=苦しむ、ではありません。
しかし、
延命しない=放置、になってしまえば
苦しむ可能性は高まります。
延命を選ばないときこそ、
適切な緩和ケアを受けることが重要です。
苦痛を減らす医療は、
命を延ばす医療とは別の軸で存在します。




















