「緩和ケアは命を縮めるのではないか」
外来でときどき聞かれる質問があります。
「緩和ケアを受けると、余命が短くなりますか?」
この不安の背景には、
- モルヒネは呼吸を止めるのではないか
- 鎮静は命を縮めるのではないか
- 緩和ケアは“終わりの医療”なのではないか
というイメージがあります。
まず結論からお伝えします。
適切に行われる緩和ケアが、
緩和ケアの目的は「命を短くすること」ではない
緩和ケアの目的は、
- 痛みを和らげる
- 呼吸苦を軽減する
- 不安を整える
- 生活の質を保つ
ことです。
命を縮めることは目的ではありません。
医療倫理上も、
意図的に生命を短縮させることは許容されていません。
モルヒネは命を縮めるのか
モルヒネなどのオピオイドは、
- 痛み
- 呼吸困難
の緩和に用いられます。
適切な量で、適切な管理のもとに使用すれば、
余命を縮めることを目的とする薬ではありません。
誤解が広がった背景には、
- 過量投与のイメージ
- メディアでの単純化
などがありますが、
現在の医療では慎重に調整が行われます。
鎮静は命を縮めるのか
緩和的鎮静は、
- 他の方法では緩和できない苦痛がある場合
- 医学的・倫理的検討を経た上で
行われます。
鎮静の目的は苦痛の軽減です。
意図は死亡の達成ではありません。
一部の研究では、
適切な鎮静が余命を有意に短縮するという明確な証拠は示されてい
むしろ、早期緩和ケアはどうか
近年の研究では、
早期から緩和ケアを併用した患者さんのほうが、
- 生活の質が向上し
- 不安や抑うつが減り
- 一部の研究では生存期間が延びた
という報告もあります。
緩和ケアは、
命を縮める医療というより、生活を整える医療です。
それでも不安になる理由
「余命」という言葉が出る状況そのものが、
不安を強くします。
そのため、
緩和ケア=終末期=死に近い
という連想が起こりやすいのです。
しかし、
緩和ケアは病気の経過全体を支える医療です。
まとめ
緩和ケアは余命を縮めることを目的とする医療ではありません。
- モルヒネは適切に使えば命を縮める薬ではない
- 鎮静は苦痛を軽減するための医療行為
- 早期緩和ケアは生活の質を向上させる
不安がある場合は、
「命に影響はありますか?」
と遠慮せず医師に尋ねてください。
正確な情報を得ることが、
不安を減らす第一歩です。



















