早期緩和ケア大津秀一クリニックではがんや慢性病のつらい症状や痛み、不安を早期からの緩和ケア外来で末期に限らず専門医大津秀一が全国対応。遠隔相談可オンライン対応緩和ケア外来で東京文京区所在。病気の進み具合や種類を問わず早期受診できます。スマートフォン等を用いたビデオ通話で相談することもできます。内科専門医でもあり身体全般に詳しいです。緩和ケア・緩和医療といえば当院にご相談ください。【診療科:緩和ケア内科・疼痛緩和内科・がん内科・がん精神科】

鎮痛補助薬

タリージェ・リリカ・サインバルタの違いは? 神経障害性疼痛に効く薬を専門医がわかりやすく解説【2025年最新版】

早期緩和ケアクリニック2025

■はじめに

神経の痛みは、日常生活にも大きな負担になります。この記事では、痛み治療を専門とする医師が「タリージェ・リリカ・サインバルタ」の違いをやさしく整理し、治療選びの不安を少しでも軽くできるよう解説します。

神経の痛み(神経障害性疼痛)は、
「ズキズキ」「ビリビリ」「焼けるような痛み」が長く続き、
生活の質を大きく下げてしまいます。

本記事では、神経の痛みに使われる代表的な薬
タリージェ(ミロガバリン)
リリカ(プレガバリン)
サインバルタ(デュロキセチン)

の違いを、日常診療で多くの痛みの患者さんを診てきた
“専門医+処方医” の立場から、やさしく整理します。


■この解説の強み

  • 緩和ケア医として 神経障害性疼痛の処方経験が豊富

  • がん性疼痛・非がん性疼痛どちらも豊富に経験

  • 患者さんからの“実際の効き方・副作用” を数多く把握

  • 医療書の著者として 最新のエビデンスも踏まえた視点

「ネットの情報がまとまっていない」
「結局どれが自分に合うのかわからない」
そんな方に向けて、臨床目線で丁寧に解説します。


■結論(まず最初にわかりやすく)

薬の“系統”で考えると以下の2つに分かれます。

◎タリージェ = リリカ

→ 同じ「α2δリガンド」という種類
効き方・副作用の傾向が似ている

◎サインバルタ

→ 抗うつ薬に分類されるが“痛みにも効く”
→ 作用機序がまったく異なる

すなわち、タリージェとリリカは近い関係、
サインバルタは別方向から痛みにアプローチする薬です。


■タリージェ・リリカ・サインバルタのしくみの違い

●タリージェ・リリカ(α2δリガンド)

神経の興奮を抑えて痛みを和らげる薬です。
脳・脊髄の“痛み信号の過剰”を落ち着かせます。

  • 帯状疱疹後神経痛

  • 糖尿病性神経障害
    などでよく使われます。

●サインバルタ(SNRI)

抗うつ薬ですが、
脳の「痛みを鎮めるブレーキ装置(下行性疼痛抑制系)」を強める働きがあります。

  • 糖尿病性神経障害

  • 慢性腰痛症

  • 変形性関節症
    に保険適応があります。

作用メカニズムが違うため、“どちらが優れている”ではなく“向き不向き”がある薬です。


■適応症(保険で使える病気)の違い

薬剤適応(保険が通る病気)
タリージェ末梢性神経障害性疼痛(糖尿病・帯状疱疹後など)
リリカ神経障害性疼痛全般
サインバルタ糖尿病性神経障害・慢性腰痛症・変形性関節症

※慢性腰痛や変形性膝関節症で痛みが慢性化している場合、サインバルタが選ばれるケースがあります。


■副作用の違い

●タリージェ・リリカ

  • めまい

  • 傾眠(眠気)

  • 浮腫

  • 体重増加

重要:運転は禁止(眠気による事故リスクが高いため)

タリージェは一部で「リリカより眠気が少ない」という報告がありますが、体感差は人によります。


●サインバルタ

  • 悪心(吐き気)

  • 食欲低下

  • 眠気

  • 口渇

  • 頭痛

※運転は「注意」

飲み合わせ注意の薬が多いため、医師・薬剤師と要相談。


■薬価(1日あたりの費用)

※2025年時点の概算

薬剤維持量1日薬価
タリージェ30mg約310円
リリカ300mg約133円
サインバルタ40mg約146円(60mgは約186円)

 


■医師目線:どれが“最も効く”のか?

✔結論:

“使ってみないとわからない” が正しい
神経障害性疼痛は個人差が極めて大きく、
Aさんにはリリカが劇的に効き、
Bさんにはサインバルタが合う、
ということが日常的に起こります。

✔タリージェは「リリカと同系統の新しめの薬」

大きな性能差は現状では不明。
過度な期待は禁物ですが、
「リリカが合わなかった人にタリージェが合う」
というパターンは臨床であります。

✔がんの神経痛では“オピオイドが優先される”場合も

がん由来の神経痛は通常の神経障害性疼痛と性質が異なり、
オピオイド(医療用麻薬)の方が明確に効くケースが多い。
※「神経痛だからまずリリカ等」とは限らないのが重要ポイント。


■使い方のポイント(専門医からのアドバイス)

✔① 少量から始めて、ゆっくり増量

タリージェ・リリカは特に“めまい・ふらつき”が出やすいため、
少量から慎重に が大原則。

✔② 効果は「すぐ効く」ものではない

十分量になるまで時間がかかるため、
2〜4週間ほど様子を見ることが多いです。

✔③ 併用が必要なケースもある

サインバルタ+α2δリガンド
と併用すると効くケースも。

✔④ やめるときも“急に中止しない”

離脱症状が出る場合があるので、
必ず医療者と相談を。


■まとめ:どの薬が「一番良い」かは人による

  • タリージェとリリカは同系統

  • サインバルタは違うアプローチ

  • 適応症、副作用、併用薬の有無で使い分け

  • 神経痛は個人差が極めて大きい

困ったときは遠慮せず医師に相談し、
合う薬を一緒に探すことが最も大切です。

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