夜、スマートフォンを手に取り、
「がん 経過 悪い」
「がん 余命 ブログ」
そんな言葉で検索し、体験談を読み続けてしまう。
読めば読むほど不安になるのに、
やめた方がいいと分かっているのに、
それでも指が止まらない――。
このような状態に悩んでいる方は、
まずお伝えしたいのは、
それはあなたが弱いからでも、心が未熟だからでもありません。
がんという病気を前にすると、人は自然と「最悪の未来」
なぜ「悪い経過のブログ」ばかり読んでしまうのか
がんと診断されると、頭の中にはたくさんの不安が生まれます。
- この先どうなるのか
- 治療はうまくいくのか
- 自分はどこまで生きられるのか
その不安に対して、人は「答え」を探そうとします。
その結果、インターネット上の体験談やブログにたどり着きます。
ところが、ネット上にはうまくいった経過より、
- 気持ちが整理できず、書き残されたままの記録
- 苦しい思いを誰かに伝えたくて綴られた文章
それらは決して間違いではありません。
しかし同時に、とても偏った情報でもあります。
他人の経過は、あなたの未来ではありません
ここがとても大切な点です。
ブログに書かれている経過は、
・病気の種類
・進行の速さ
・治療内容
・体力や年齢
・医療環境
そのすべてがあなたとは異なります。
それでも、人は不安が強いときほど、
「悪い話」を自分に当てはめてしまう傾向があります。
その結果、
まだ起きていない未来を、
すでに起きた出来事のように感じてしまう
という状態に陥ります。
「調べてしまう自分」を責めないでください
「こんなブログを読むから不安になる」
「やめなきゃいけないのに」
そう自分を責めてしまう方も少なくありません。
ですが、不安なときに情報を探してしまうのは、
心を守ろうとする自然な反応です。
大切なのは、
「読む・読まない」ではなく、
今の不安がどこから来ているのかを整理することです。
不安が強いときは、治療の判断も難しくなります
強い不安を抱えたままでは、
- 主治医の説明が頭に入らない
- 治療の選択肢を冷静に考えられない
- 本当は聞きたいことが聞けない
といったことが起こりやすくなります。
これは気合いや努力の問題ではありません。
人の脳は、不安が強いときには判断力が揺らぐようにできています
こういうときこそ、緩和ケアの出番です
緩和ケアというと、
「治療をやめるとき」
「最期の医療」
と思われがちですが、実際は違います。
緩和ケアは、
- 痛みや症状だけでなく
- 不安や恐怖、心のつらさ
にも向き合う医療です。
「この不安はどこから来ているのか」
「今、何が一番つらいのか」
それを一緒に整理することで、
検索に振り回されない状態を取り戻すことができます。
今すぐ決断しなくても大丈夫です
もし今、
ブログを読み続けてしまうほど不安が強いなら、
それは「誰かと一度、立ち止まって話すタイミング」
今日、何かを決める必要はありません。
治療を変える必要もありません。
ただ、不安を一人で抱え続けないこと。
それだけで、心の負担は大きく変わります。
この記事を読んでくださったあなたへ
あなたが感じている不安は、
「気のせい」でも「考えすぎ」でもありません。
もし、誰にも言えない不安を抱えているなら、
一度、緩和ケアという選択肢があることを思い出してください。










大津秀一が解説する闘病ブログを見てもやもやしないために-min-150x150.jpg)








