――がんになってから「話せなくなる」本当の背景
がんと診断されてから、
- 誰かに相談したほうがいいと頭では分かっている
- でも、実際には誰にも話せない
- 何をどう言えばいいのか分からない
そんな状態に陥る方は、とても多いです。
これは決して、
あなたの性格や弱さの問題ではありません。
「相談できない」は、よくある反応です
がんになったあと、
相談できなくなる人には、はっきりした理由があります。
しかもそれは、
理にかなった反応です。
理由① 相談すると「相手を困らせてしまう」気がする
まず多いのが、この感覚です。
- 重い話をしてしまうのではないか
- どう返していいか分からなくさせてしまうのではないか
- 相手の表情が曇るのが怖い
その結果、
話す前にブレーキがかかるようになります。
「迷惑をかけたくない」という気持ちは、
とても誠実な感情です。
理由② 相談すると、結論や正解を求められてしまう
相談すると、こう返ってくることがあります。
- 「じゃあ、どうするの?」
- 「前向きに決めないと」
- 「覚悟を決めたほうがいいよ」
でも多くの場合、
相談したいのは結論ではありません。
- 気持ちが整理できていない
- 揺れている状態をそのまま聞いてほしい
- ただ吐き出したい
このズレが続くと、
「もう話すのをやめよう」となります。
理由③ 家族にこそ、話せなくなる
意外かもしれませんが、
一番身近な家族ほど相談できないことがあります。
- これ以上心配させたくない
- すでに十分苦しませている気がする
- 自分が弱音を吐くと、家族が崩れそう
その結果、
「自分が支える側」になってしまう。
がん患者さんが、
無意識にこの役割を背負うことは珍しくありません。
理由④ 主治医には「こんなこと聞いていいのか」と思ってしまう
主治医に対しても、
- 忙しそうで聞けない
- 病状以外の話は場違いな気がする
- 気持ちの話をしていいのか分からない
そう感じて、
本当の困りごとが置き去りになることがあります。
「相談できない自分」を責めなくていい
誰にも相談できない状態は、
- 我慢している
- 耐えている
- 状況を必死にコントロールしようとしている
というサインでもあります。
これは弱さではなく、
生き延びるための反応です。
相談は「解決のため」でなくていい
相談は、
- 答えを出すため
- 決断するため
- 前向きになるため
でなくても構いません。
- まとまらない気持ち
- 矛盾した思い
- まだ言葉にならない不安
それをそのまま置いていい場所が、
必要なだけです。
緩和ケアは「話せない状態」からでも始められます
緩和ケアでは、
- 症状が強くなくても
- 治療が続いていても
- 相談内容がはっきりしていなくても
受診できます。
「うまく説明できない」という状態そのものが、
相談の理由になります。
最後に
誰にも相談できないと感じているあなたは、
決して一人で立ち向かおうとしているわけではありません。
ただ、
話す場所がまだ見つかっていないだけです。
言葉になる前の気持ちを、
そのまま置いていい場所は、必ずあります。













