――それは「あなたが見捨てられた」という意味ではありません
「もう、できる治療はありません」
「次は緩和ケアになります」
そう言われた瞬間、
主治医に見放されたような気持ちになる方は、決して少なくありません。
それまで頼りにしてきた医師との関係が、
急に遠くなったように感じる――
この感覚は、とても自然なものです。
「見放された」と感じてしまうのは、あなたの弱さではありません
がん治療の現場では、
医師の言葉は「医学的な区切り」を意味していることが多くあります。
一方で、患者さんやご家族にとっては、
その言葉は 人生そのものが断ち切られたように響く ことがあります。
このズレは、誰の責任でもありません。
ただ、説明と支えが途切れたように感じてしまう瞬間があるのです。
医師が伝えたかったことと、受け取られ方の違い
主治医が
「治療が難しい」
「抗がん剤はここまで」
と伝えるとき、多くの場合それは
無責任な放棄ではなく
医学的に誠実な判断
です。
しかし、その説明の中で
患者さんの不安や孤独に十分に触れられない こともあります。
結果として、
「もう関わってもらえない」
「あとは放っておかれる」
と感じてしまう方が出てくるのです。
治療が終わっても、医療が終わるわけではありません
抗がん剤や手術が一区切りついたとしても、
痛みや息苦しさ
不眠や食欲低下
不安、迷い、怒り、虚しさ
今後の治療や生活の整理
こうしたことは むしろこれからが本番 になることもあります。
つまり起きているのは、
医療の終わり
ではなく
医療のフェーズの変化
です。
主治医との関係がつらくなったとき、別の相談先があります
主治医を否定する必要はありません。
同時に、一人で抱え続ける必要もありません。
たとえば、
主治医とは別の立場で話を聞いてくれる医師
症状だけでなく、気持ちや判断の整理を支える外来
「次に何ができるのか」を一緒に考える場所
こうした存在があることで、
「見放された」という感覚が少しずつ和らぐこともあります。
見放されたと感じたあなたへ
あなたがそう感じてしまったことは、間違いではありません。
それだけ、真剣に病気と向き合ってきた証です。
ただ一つ、覚えておいてほしいことがあります。
あなたが見捨てられたわけではありません。
支え方が変わるだけで、
支える医療は、まだ続けられます。
まとめ
主治医に見放されたと感じる人は多い
それはしばしば、説明と感情のズレから生じる
治療が終わっても、医療は終わらない
主治医とは別に相談できる場所がある
今の気持ちを言葉にできないまま、
一人で抱え込んでいる方が、少しでも楽になりますように。













