がんと診断され、治療を続けるなかで、
主治医には聞きにくいことがある
これ以上、不安をぶつけていいのかわからない
でも、誰かに一度整理して話を聞いてほしい
そんな気持ちを抱えている方は、決して少なくありません。
そのときに多くの方が思い浮かべるのが
「緩和ケアに相談してみたい」という選択です。
一方で、ほぼ必ず出てくる不安があります。
「主治医に知られたら、関係が悪くならないだろうか」
「紹介状がないと受診してはいけないのでは?」
「勝手に行ったら、怒られるのでは…?」
このページでは、
緩和ケアの現場で実際に起きていることをもとに、
その不安を一つずつ整理してお伝えします。
緩和ケアに相談すると、主治医との関係は悪くなる?
結論から言います。
ほとんどの場合、悪くなりません。
なぜなら、緩和ケアは
「主治医の代わりになる医療」でも
「治療を奪う医療」でもないからです。
緩和ケアの役割は、主に次のようなものです。
痛みやつらさ、不安の整理
治療を受けながら生活をどう保つかの相談
主治医にどう伝えればいいかを一緒に考えること
つまり、主治医を支える側の医療です。
実際、緩和ケア医の多くは
「主治医との関係を壊さないこと」をとても大切にしています。
紹介状は必要? 勝手に行ってはいけない?
これも多くの方が誤解しています。
紹介状が「必須」でないケースは多い
外来の緩和ケア
セカンドオピニオン的な相談
オンラインでの医療相談
こうした場では、
紹介状なしで受診できることも珍しくありません。
「まず話を聞いてもらう」
「状況を整理する」
その段階で、主治医にすぐ伝える必要はありません。
「勝手に行ったら怒られる」のでは?
この不安、実はとてもよくわかります。
ですが現実には、
主治医が後から知っても特に問題にならない
むしろ「よく相談してきましたね」と言われる
気持ちが整理されたことで、主治医との会話がスムーズになる
こうしたケースのほうが圧倒的に多いです。
緩和ケアは
対立を生む医療ではなく、橋渡しの医療だからです。
主治医に言わずに相談してもいいの?
はい、構いません。
特に、
まだ自分の気持ちが整理できていない
主治医にどう伝えればいいかわからない
感情的になってしまいそうで怖い
こうした状態のときは、
一度、第三者に話すこと自体が意味を持ちます。
緩和ケア外来では、
主治医にどう説明すればよいか
どこまで伝えるか
今は伝えなくてもよいことは何か
こうした点も含めて、一緒に考えます。
緩和ケアに相談することで起きやすい「良い変化」
実際に多くの患者さんが口にされるのは、次のような変化です。
頭の中が整理され、落ち着いて主治医と話せるようになった
不安を全部ぶつけなくてよくなり、診察が楽になった
「一人で抱えなくていい」と思えた
緩和ケアは、
治療をやめるための場所ではありません。
治療を続けるために、
心と体の負担を軽くする場所です。
迷っているなら、今日決めなくて大丈夫です
最後に、これだけはお伝えさせてください。
緩和ケアの相談は、
覚悟を決めて行く場所
重大な決断をする場所
ではありません。
「一度話してみる場所」です。
もし今、
相談したほうがいい気はする
でも、まだ踏み切れない
そう感じているなら、
その迷い自体が「相談してよいサイン」です。
今日決めなくても構いません。
ただ、一人で抱え続けなくていいということだけ、覚えておいてください。













