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お腹のはり 緩和ケア

がんのお腹のはりをどう改善すれば良いか?

がんのお腹の張りやがん性腹膜炎の症状緩和を解説

お腹のはりの原因はかなり多い

お腹のはりは、原因が非常に多いです。

物理的に膨らんではっていることもありますが、たいして膨らんでいなくても自覚症状としては強くはる場合もあります。

がんの場合も様々な原因で、お腹のはりを自覚します。

抗がん剤治療も下痢になったり、便秘になったり、はり感等の消化器症状を起こすものもあります。

今日はその中でも、がんの進行期に出現するがん性腹膜炎からのお腹の張りについて説明します。

 

 

お腹に張り巡らされる腹膜

お腹の中というと臓器だけというイメージがありますが、実際には腹膜も存在しています。

リンク先の青色に着色されている部分が、腹膜です。

What Is Peritonitis? – Definition, Symptoms & Treatment(英語)

上のリンクでも、腹膜をエンジンオイルになぞらえて表現しています。

腹膜は潤滑油と同じように機能し、腹膜がなければ、腹部と臓器がくっついて正しく機能しなくなってしまうと書かれています。

腫瘍が腹膜に転移すると(腹膜播種。ふくまくはしゅ)、この機能が障害されます。

腹膜に進展した腫瘍は、炎症を生じ、可動性を損なわせます。

それが後述するような様々な病態を続発させ、お腹が張る感じを自覚させるのです。

その他にも、この腹膜播種は腹水(ふくすい)や腸閉塞(ちょうへいそく)を来たします。

前者は、腹膜の透過性が変化するために、腹水が増えていってしまうものであり、後者は複数箇所の可動性の低下から腸の動きも悪くなり、腸液やガスが貯留してしまってなる病態です。

腸閉塞については下記でも解説しています。

この腹水や腸閉塞もお腹の張りを自覚する代表的な病態ですが、腹水や腸閉塞がなくても、お腹の強い張りを自覚する場合があります。

それをこれから説明します。

 

腹水と消化管閉塞以外でお腹が張る感じを自覚するがんの病態

腹水と消化管閉塞以外でお腹が張る感じを自覚するがんの病態は、次のようなものがあります。

① 通過障害(腸閉塞が完成する水準以下の)

炎症のある腹膜や腸間膜のそばに腸の管が通っています。

ここは腸の動きが他の場所よりも悪くなります。

ガスなどもそのようなところでは溜まりやすくなり、それでお腹が張る感じを自覚します。

腹膜や腸間膜が炎症性に硬くなっていることは、高度の張り感の自覚の原因にもなります。

② 内臓痛(ないぞうつう)

腹膜や腸間膜に炎症があると、内臓痛を生じることがあります。

内臓痛は、「私の症状は痛みではない」と仰る方が散見される病態です。

痛みではなく強い張り感として自覚されることもあるのですね。

しかし実際は、(痛くないのですが)広い意味での内臓痛に属します。

内臓痛には医療用麻薬は効くので、モルヒネ等の医療用麻薬の使用適応が生じます。

③ 腹部の緊張

腹部症状の持続から、腹壁の筋肉が始終緊張している状態が続発的に起こることがあります。

あるいは症状の持続は、その場所への意識の集中を招きやすくなります。

これに対して筋肉を緩め、また張り感自体の感じやすさを減らしてくれる可能性があるのがロラゼパム(ワイパックス)です。

 

このように腹水や腸閉塞がなくてもお腹の張り感を自覚することがありますし、また①~③の病態はそれぞれが併存することも稀ではありません。

 

がん性腹膜炎によるお腹の張りの治療は?

腹水や腸閉塞はそれぞれの治療が必要になりますが、①~③の病態についてお伝えします。

① 通過障害(腸閉塞が完成する水準以下の)

通過の改善に寄与するのはステロイドです。

ただ一般には3ヶ月以上の投与は回避したほうが良いと言われており(逆に2週間程度ならばほとんど問題ありません)、また個人的には抗がん剤治療中の長期継続は、実際より患者さんが自他覚的によく見えるため治療判断を誤らせることがあり、回避したほうが良いと考えます。

具体的な処方例を示します。

・ デカドロン錠4mg 分1 朝

【なお、内服でも注射でも効果に違いはありません。ただ腸閉塞になっていると吸収できなくなるため、完全な腸閉塞の際は注射が望ましくなります】

② 内臓痛

お腹の張りの症状が実は内臓痛からという場合は少なくありません。

医療用麻薬が内臓痛ならば効きます。

頓服で使用してみて改善するかどうかを見るという方法はありますが、下図のaやbのような症状だと仮定すると、頓服(例えばオプソやオキノーム等)だけでは改善しないことも多いです。

オピオイドの濃度と痛みの緩和ケアについての解説です

それなので、

・ フェントステープ0.5mg 1日1回 定時で貼付(ベース薬。上の図で言えば青の線の役割)

・ 症状が強い際に、アブストラル100μgを1回舌下。2時間以上あけて1日4回まで(レスキュー薬。上の図で言えば紫の線の役割)

等の医療用麻薬治療が想定されます。

フェントステープ等のような成分がフェンタニルの製剤は、胃腸の運動に与える影響が少ないので、腸閉塞が起こりそうな病態においても使用しやすいですが、フェンタニル貼付剤のフェントステープやデュロテップMTパッチから開始することが添付文書上しにくい点が難点です(2019年現在の段階では)。

フェントステープは0.5→1→2→3→4mg/日と症状を見ながら(前回増量から最低72時間はあけて)増やしていけます。

使用開始数日は量が多くなくても眠気が出ますが、次第に慣れて消失します。

その後増やしていって、眠気ばかり増えて、症状が改善されないようならば、それ以上は増やすべきではありません。

一般には、フェントステープを2~3mg/日程度まで増やしても、全くお腹の張りが改善されないようならば、医療用麻薬は無効のお腹の張り(つまり内臓痛の占める部分は少ない)と考えて良いでしょう。

なお、医療用麻薬については次の記事でも書いているように、がんの場合はくせや中毒にはならないので心配ありません。

③ 腹部の緊張

・ロラゼパム0.5mg 1×頓用内服(舌下もできる)<4時間以上あけて1日3回まで>

などが対応例として考えられます。

①や②が諸般の事情で使いづらい場合等にも選択肢にあがります。

 

がんの場合のお腹の張りのまとめ

特にがん性腹膜炎を起こしている場合の、お腹の張りの原因や対処法について説明しました。

なお人によってはお腹を温める、食事内容を見直すなどのケア的な側面も有効でしょう。

他にも腹水や腸閉塞、抗がん剤等のがん治療の影響等と、様々な理由からお腹は張ります。

その症状の診断と治療の専門家は、緩和ケア医です。

症状が続くならば、担当医とよく相談し、それでもはかばかしい回答や対処が得られない場合は、専門家に関与を求めるのが望ましいと考えます。

 

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