治療が始まってから、むしろ不安が強くなっていませんか
乳がんステージ3、ステージ4と診断され、
抗がん剤やホルモン療法、分子標的薬などの治療が始まると、
- 「治療は進んでいるはずなのに、気持ちが落ち着かない」
- 「検査結果は悪くないと言われるのに、不安が消えない」
- 「これから先のことを考えると、夜に眠れなくなる」
こうした声は、決して珍しいものではありません。
むしろ治療が本格化した“この時期”に、
乳がんステージ3・4に特有の不安とは
乳がんは、他のがんと比べて
- 治療期間が長い
- ステージ4でも治療を続けながら生活する期間が長い
- 「慢性疾患のように付き合う」と言われることがある
という特徴があります。
そのため、
- 「いつまで治療が続くのか分からない」
- 「今は効いていても、将来はどうなるのか」
- 「この先の人生設計が立てられない」
という先の見えなさが、じわじわと心を圧迫していきます。
これは決して弱さではありません。
病気の構造そのものが、不安を生みやすいのです。
「治療は順調です」と言われるほど、相談しづらくなる問題
治療中の方から、よく聞く言葉があります。
「先生に“順調ですね”と言われると、
これ以上、不安を言っていいのか分からなくなる」
- 治療効果が出ている
- 数値は安定している
- 次の治療方針も決まっている
こうした状況では、 「こんなことで相談していいのだろうか」 と、自分の気持ちを後回しにしてしまいがちです。
しかし、不安は数値や画像には映りません。 そして、放っておくほど大きくなっていく性質があります。
主治医との関係が悪いわけではありません
ここで誤解してほしくないのは、 この問題は「主治医が悪い」わけではない、ということです。
乳腺外来や腫瘍内科の現場では、
- 限られた診察時間
- 治療内容・副作用管理が中心
- 多くの患者さんを診る必要がある
という現実があります。
その中で、
不安・迷い・生活の悩みまで十分に扱うのは、構造的に難しい
という側面があるのです。
治療中こそ、緩和ケアが役立つ理由
緩和ケアは、 「治療をやめる場所」 「最終段階の医療」 ではありません。
特に乳がんステージ3・4の治療中には、
- 不安や恐怖の整理
- 治療を続ける中での気持ちの揺れ
- 仕事・家庭・将来への迷い
- 副作用や生活上の困りごと
を治療と並行して扱う医療として、大きな役割を果たします。
緩和ケア外来では、 「治療をどうするか」ではなく、 「この治療期間を、どう過ごすか」 を一緒に考えます。
「まだ早い」と感じる方ほど、実は向いています
多くの方がこう言います。
「まだ治療中ですし、
緩和ケアはもう少し先ですよね?」
しかし実際には、
- 不安が強い
- 気持ちを吐き出す場所がない
- 一人で抱え込んでいる
この状態こそが、相談のサインです。
症状が重くなる前と同じように、
不安も、早い段階でケアしたほうが軽くなります。
まとめ:治療が進んでいても、不安があるのは自然です
乳がんステージ3・ステージ4の治療中に、
- 不安が消えない
- 気持ちが追いつかない
- 誰に相談すればいいか分からない
と感じるのは、ごく自然な反応です。
その不安は、 「前向きになれていない証拠」でも、 「治療がうまくいっていない証拠」でもありません。
迷ったとき、立ち止まりたくなったとき、
治療を続けながら相談できる場所があることを、
緩和ケアは、
「つらくなってから行く場所」ではなく、
つらくなりすぎないために使う医療です。




















