「今は治療が最優先です」と言われたあと、心に残る違和感
がんと診断されたとき、多くの方がまずこう言われます。
「まずは治療を最優先に考えましょう」。
医学的に正しい判断であることは、ほとんどの場合、
けれど同時に、
- 将来、子どもを持つことはもう考えられないのだろうか
- 今ここで聞かなかったら、もう二度と相談できないのでは
- こんなことを気にする自分は、わがままなのではないか
この言葉にできない不安は、決して珍しいものではありません。
妊娠や将来の話題は「後回し」にされやすい
がん治療の現場では、
- 治療効果
- 副作用
- スケジュール
- 命に関わるリスク
といった、目の前の重要課題が優先されます。
その結果、
- 妊娠
- 妊孕性(将来子どもを持つ可能性)
- パートナーとの人生設計
といったテーマは、話題に出しづらいまま時間が過ぎてしまうこと
特に若い世代では、
「今は命の話をしているのに、そんな先の話をしていいのか」
と、自分からブレーキをかけてしまうケースも多く見られます。
実は、治療と妊娠の悩みは“同時に考えていい”
重要なのは、
「治療か、妊娠か」という二者択一ではないということです。
- 治療を優先しながら、将来の選択肢を整理する
- 今できる準備と、できないことを切り分ける
- 専門施設につなぐかどうかを含めて、情報を整える
これらはすべて、治療を妨げずに行うことが可能です。
しかし実際には、
- 誰に相談すればいいかわからない
- 主治医の外来では時間が取れない
- 専門が違う話題だと感じてしまう
といった理由で、宙に浮いたままになりがちです。
緩和ケアは「治療をやめる場所」ではありません
ここで誤解されやすいのが、緩和ケアの役割です。
緩和ケアは、
- 痛みを取るだけの医療
- 治療が終わった人のための医療
ではありません。
実際には、
- 不安や迷いの整理
- 人生や将来に関わる意思決定の支援
- 専門医療への橋渡し
といった、「考えるための医療」でもあります。
がん治療と妊娠の悩みは、まさにこの領域に含まれます。
実際に行われている支援の一例
緩和ケア外来では、次のような関わりが可能です。
- 今の治療内容と妊娠への影響を整理する
- 「今すぐ決めなくていいこと」と「今考えるべきこと」を分ける
- 妊孕性温存や生殖医療を扱う専門施設につなぐ
- パートナーや家族との話し合いをサポートする
これは、治療を止める話ではありません。
むしろ、治療を続けるために心を整えるプロセスです。
「相談していいのか迷っている段階」で来ていい
多くの方が、
まだ決まっていない
何を聞きたいのかも整理できていない
この状態で受診してよいのか悩まれます。
ですが、緩和ケア外来は、 「答えを出してから来る場所」ではありません。
- 迷っている
- 不安がある
- 誰に聞けばいいかわからない
その段階こそ、もっとも役に立つ場です。
まとめ──将来を考えることは、治療の妨げにならない
がん治療と妊娠の不安は、
「贅沢な悩み」でも「後回しにすべき話題」でもありません。
- 命を守る治療
- その先の人生
どちらも大切にしていい。
一人で抱え込まず、
治療を勧めるためではなく、考えるための相談先として、
緩和ケアという選択肢があることを知っておいてください。





















