――周囲に人がいても、ひとりだと感じるとき
がんと診断されてから、
こんな感覚を抱いていませんか?
- 家族や友人はいるのに、どこか孤独
- 心配してもらっているのに、話が噛み合わない
- 「わかってもらえない」と感じてしまう
これは、とても自然な反応です。
孤独は「人がいない」ことではありません
孤独とは、
一人でいることそのものではありません。
がんになってから感じる孤独の多くは、
- 気持ちを共有できない
- 本音を話せる相手がいない
- 同じ景色を見ている人がいない
という状態から生まれます。
周囲に人がいても、
心が一人になる瞬間が増えていくのです。
理由① 経験の非対称性
がんになった人と、なっていない人の間には、
どうしても越えられない「経験の差」が生まれます。
- 痛みや体調の揺らぎ
- 治療への恐怖
- 「先の見えなさ」
どれも、説明はできても、
同じ温度で共有することは難しい。
この非対称性が、
「伝わらない」という孤独を生みます。
理由② 周囲が「前向きさ」を求めてくる
善意から、こんな言葉をかけられることがあります。
- 「きっと大丈夫だよ」
- 「前向きに考えよう」
- 「気の持ちようだよ」
でも、その言葉が、
逆に心を閉ざしてしまうこともあります。
不安や怖さを口にすると、
場の空気が重くなる気がして、
言葉を飲み込むようになるのです。
理由③ 守る側になってしまう
多くのがん患者さんは、
無意識のうちに「守る側」になります。
- 家族を心配させないように
- 子どもに不安を見せないように
- 周囲を安心させるために
その結果、
自分の気持ちを後回しにしてしまう。
これは強さではなく、
役割を背負っている状態です。
孤独を感じるのは、異常ではありません
がんになってから孤独を感じることは、
決して心が弱いからではありません。
むしろ、
- 状況を正確に受け止めている
- 周囲との関係を大切にしている
- 自分の内面に向き合っている
その結果として、
自然に生じる感情です。
孤独は「言葉にしていい」
孤独を感じたとき、
それを一人で抱え続ける必要はありません。
緩和ケアでは、
- 症状のことだけでなく
- 気持ちの揺れ
- 誰にも言えない思い
も、重要なケアの対象です。
孤独を言葉にすることは、
弱さではなく、回復への一歩です。
最後に
がんになってから感じる孤独は、
あなたが一人だからではありません。
誰にも代わってもらえない経験を、
必死に生きているからこそ、
生まれる感情です。
孤独を感じている自分を、
どうか責めないでください。














